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<その他電子機器>
電子業界に巨大な機会を提供するインプラント型医療機器市場
532-231761 *Elec.Bsns. 2006-1 p.10,19図
 医療用の携帯型及びインプラント型電子装置は,半導体メーカーと電子サービス企業に大きな利益をもたらすと期待される。例えばインプラント型の心臓用ペースメーカの売上げは2006年に100億ドルが見込まれる。またNeurotech Reports社によると,難聴やうつ病の治療に用いられる脳と神経系に直接作用する電子装置の売上げは31億ドルと予想される。こうした装置の製造で医療機器メーカーが求めているのは,まさに電子業界が提供している低消費電力,混成信号処理,無線データ通信といった技術である。
眼球の虹彩を利用した生体認証技術の開発が活発化へ
532-231762 Fin.Times 2006-1-6 p.6写
 眼球の虹彩を利用して識別を行うバイオメトリック認証技術開発市場が,2007年は急成長すると予想されている。これは過去20年以上にわたり,開発の妨げになっていた特許の期限が切れるからだ。これまでは指紋や顔面認識といった他の認識システムよりもコスト高だったが,特許期限切れで価格競争が激化すると見られている。これまで特許を持っていたIridian Technologies社(米)には打撃だが,1社独占状態は顧客が技術の信頼性を懸念するという問題があった。長期的には新設企業にも市場が広く開かれている。
次世代軍事通信システムの開発は民生用ハイテク企業にも機会をもたらす
532-231763 Elec.Bsns. 2006-1 p.38〜43図写
 イラク戦争で現行の通信システムの限界を悟った米軍は,次世代の通信システムNCWの開発を急いでいる。これによって第一に恩恵を受けるのはロッキード・マーチン社などの軍用電子企業であるが,民生用電子企業にも大きな機会となる。半導体が複雑化した現在,信頼性の製品を作るために軍需企業が半導体専門企業の知識を必要とするようになっているためである。また苛酷な環境で使用する軍用電子製品の寿命は短く,NCWも安価なコストで迅速に開発することが求められる。このため商用部門への技術移転のペースも加速すると見られる。
3D設計ソフトに適した革新的なディスプレイ開発を巡り競争(米)
532-231764 *Mech.Engineering 2005-12 p.32〜34写
 3次元設計はすでにある程度一般化しているが,今日のCADソフトは影や明度によって3D効果を演出している。しかし特別なディスプレイを利用すれば,より真に迫った奥行き感を実現でき,設計能力をもう一段階上にまで引上げられる。ソフト・メーカーは,モデル化能力の円滑化・高速化を進めてきたが,視覚化がそれに追いついていなかった。LightSpace Technologies社が製造する3次元モニタDepthCubeは,ディスプレイ上の画像に奥行きを表現することに成功している。Actuality Systems社の3次元ドームPerspecta Spacialは,イメージを全角度から歩き回って見ることができる。
映画のDVD発売とオンデマンド放送を同時に行う可能性も
532-231765 *Wall Str.J. 2006-1-4 p.B1,B4図
 ケーブルテレビ会社と大手映画会社は,映画のDVD発売と同時にビデオ・オンデマンドの放送について議論している。この動きは,いかに映画会社が売上げを増加させ,ハイテクに精通した消費者の要求に応えたがっているかを表している。興行収入の低下とDVD売上げの頭打ちにより,従来の劇場→DVD→その他という流れを映画会社は変えようとしている。オンデマンド放送は,価格付けから海賊行為防止まで複雑な問題を内包している。またビデオ・オンデマンドの前倒しにより,DVDの売上げがさらに減退するおそれもある。2005年の北米の興行収入は5.2%減少し,DVDの売上げも成長率が1桁台に下落した。
ポーカー人気によりビデオゲーム業界でギャンブル・ゲームの開発が増加(米)
532-231766 Fin.Times 2006-1-3 p.6図
 ギャンブルの人気が高まるのに応じて,ギャンブル・ゲームの開発が増えている。Myelin Media社は,MTVと提携してStacked with Daniel Negeanuを2006年初頭に発売する予定だ。このこともギャンブル・ゲームが商業ベースの主流に入っていることを示している。2004年11月にCrave Entertainment社がWorld Championship Pokerを発売し,このソフトの売上げが100万本を超えたことが発端になった。ギャンブル・ゲームではないゲームに,ギャンブルの要素を取り入れたソフトを開発するメーカーも現れた。
マイクロソフト社のXboxへの賭けにはリスクも
532-231767 *Wall Str.J. 2006-1-3 p.D7
 マイクロソフト社は,ゲーマーが挙ってインターネットを介してゲームを対戦するとことに大きく賭けており,オンライン・サービスのXbox Liveに数億ドルを費やしている。オンライン利用者を引きつけるために,無料の限定アクセス権をバンドルしているが,対戦するには年50ドルの登録料が必要となる(ゲーム代を除く)。ソニーと任天堂が2006年に発売する新型機もオンライン・ゲームを売りものの一つにすると見られていることから,マイクロソフト社が250億ドルのゲーム産業の先駆けとなる可能性もある。問題はオンライン・ゲームに大量のゲーマーを引きつけられるかだ。
トレンドとは逆に投資部門を社内に戻したApplied Materials社(米)
532-231768 Wall Str.J. 2006-1-23 p.B2
 社内ベンチャーキャピタル(VC)を止める企業がある中で,Applied Material社は,独立型だったVCファンド部門を社内型にした。同社の資金は年間2500万ドルで,ライフサイクルの初期段階にある企業を対象にしている。またTakumi Technology社のような,半導体の使用を促進させる新設企業も求めている。こうした投資は,同社のビジネス成長を促進することにもなる。同社のベンチャー部長Christopher Moran氏によると,中国やインドへの投資も重視しているという。
中小の電子設計自動化企業の買収を抑制するCadence,Synopsys両社(米)
532-231769 *Elec.Bsns. 2006-1 p.28図
 Cadence,Synopsys両社は新たな戦略として,中小の電子設計自動化(EDA)企業の買収を減速させることを検討している。製造可能な設計の観点から,技術ミックスに中小企業を加えていくことが困難になりつつあることが理由である。買収による新技術の獲得から,社内での革新の達成に軸足を移すことになる。アナリストは,買収方針の転換による影響は少ないと見ている。例えばGartner Dataquest社のG.Smithは,EDAは将来的に両社が弱点とする電子システム・レベルで成長していくと考えている。
新しいDVDフォーマットにより回復を願うDolby社(米)
532-231770 Wall Str.J. 2006-1-4 p.B5A
 米国世帯の80%がDVDプレーヤを保有していることから,買換え需要の増加により,Dolby Laboratories社も売上げの増加を見込んでいる。同社は,消費者向けヘッドセットやHDTV,パソコンやデジタル映画装置などに関連した有望な製品を有しているが,拡大は次世代DVD技術が普及する2007年までお預けになると見られている。同社は雑音低減技術で有名だが,最近はその技術のDVDプレーヤのメーカーへのライセンス料が売上げ3億2800万ドルの30%を占めていた。2000〜03年まで,世界のDVDの売上げは年間88%成長していたが,2005年の第3四半期までのプレーヤの売上げ成長率は3%にまで下っている。
監視技術を商業利用して成長するNICE社(イスラエル)
532-231771 *Fin.Times 2006-1-20 p.8
 86年創業のNICE Systems社は,軍用の監視技術を商業用に転用している。例えば同社のソフトを利用した足跡のデジタル追跡システムでは,警備員では見逃してしまいそうな些細な行動も捉えることが可能となる。2001年の米国同時テロ以降,同社の顧客は軍・警察だけでなくコールセンター,発電所,カジノなどにも広がっている。収入は2005年の3億800万ドルから2006年には3億5500万ドルに増加すると予想される。同社のクライアントには,Citibank,American Express,ニューヨーク市警,米国国土安全保障省などが含まれ,IBM,モトローラ社とは戦略的に提携している。
ソニーが飛躍的に読み易くなった改訂版e-bookリーダーを米国で発売予定
532-231772 *Bsns.Wk. 2006-1-9/16 p.36,38写
 ソニーはラスベガスのCES展で,米国市場向け携帯型e-bookリーダー改訂版を発表した。価格は300〜500ドル。Random House社など大手出版社とデジタル書籍ダウンロード契約を締結し,iPodと同様,Sony Connectオンライン・ストアでコンテンツを購入する仕組みだ。LCDに代り,バックライトのないE Ink社のディスプレイ技術を採用したことで読み易さが格段に向上,印刷物感覚で読め,太陽光の下でも大丈夫だ。だがe-book市場(2004年に米国の出版社の書籍販売の0.2%)の拡大には一層の技術発展が必要だし,2006年上半期にはiRex Technologies社などが参入見込みで競争も激化する。
特集:試験及び測定機器の動向
532-231773 *Elec.Wkly. 2006-1-25 p.26〜38図写
 FPGAなどボール・グリッド・アレー(BGA)の利用により,チップ基板の設計者と試験技術者の間で,境界走査への関心が高まっている。その理由は,単一の試験技術だけに頼ることが困難になっている中で,境界走査は基板の大部分の試験が可能で,結果を複雑なグラフで表示してくれるからである。この特集では他に,(1)境界走査に加入することで,高速ワイヤレスの設計者が有利に,(2)測定器用LAN拡張機能(LXI)により,試験機のネットワーク化が可能に,(3)機種ごとの格差が拡大し,最低の業界性能基準以上の新しい基準が必要になっている携帯電話,などが取り上げられている。