<航空機>
航空業界は米国以外ではブーム状態,機体の発注も旺盛(特別記事)
530-231211 *Economist 2005-11-12 p.73〜75図写
 米国では大手エアラインの破綻が相次いでいるが,他の地域では,燃料価格の高騰にもかかわらず,新世代の航空機,改善されたビジネスモデル,新市場の量的拡大,労働生産性の大幅改善が相まって,航空業界はブーム状態にある。IATA(国際航空運送協会)によれば,世界の航空会社の今年の合計利益は,過去5年間の合計赤字額を上回る456億ドルに達する見通し。これに応じて航空機の発注も活発化しており,ボーイング社は2005年中ですでに約650機,エアバス社も400機以上を受注しており,生産は限界に近い。唯一明るいニュースがない米国大手にもようやく明るい部分が見えてきた。
世界の社用航空・航空機:大荒れの後,順調に回復(特集)
530-231212 *Fin.Times 2005-11-9 p.SR1〜SR4写
 経済の回復に伴い,業務用及び役員用航空機の受注が急速に伸び,新興のインドや中国市場でも関心が高まってきた。この特集では,苦境の後の業界の回復,同じ轍を踏みたくないBombardier社(加),石油掘削ブームで忙しいヘリコプタ業界,2006年いよいよ市場テスト段階を迎える超軽量ジェット機(VLJ),近い将来に予測されるエンジニア不足,安全性と経済性を高めるハイテク・コックピット,規制が成長を阻害している中国業界などについて報告。
企業ジェット機の需要が新記録を達成の見込み
530-231213 Wall Str.J. 2005-11-8 p.A3
 過去2年間活性化していた世界のビジネスジェットへの新規需要だが,2006年には納入機数が850と新記録見達する見込みをHoneywell International社が提示した。またMorris Township社によれば,世界のビジネスジェットの納入は,2006,07年をピークに,その後数年は横這いと見られている。過去の最高納入機数は,2001年の769機で,2005年は745機と,2004年から30%近く増加している。2015年まで,業界全体で9900機の納入が予想されており,1560億ドル以上を売上げると見られている。超軽量で操縦士1人の航空機は,今後10年で最大5000機が納入されると予想されている。
ビジネスジェットの需要が伸びて供給が追いつかない状態
530-231214 Wall Str.J. 2005-11-29 p.B2図
 世界のビジネスジェットへの需要が予想以上に伸び,2005年1〜9月の納入機数は510機と,前年同期比で30%増えている。しかし需要の浮き沈みが非常に激しい業界であるため,Bombardier(加),米国のGeneral Dynamics,Cessna Aircraft社などのメーカーは,供給を急激に引上げることに慎重である。これに元々の組立ラインの制限と仕入れ先の制約が加わって,顧客は何カ月,あるいは人気機種の場合何年も納入を待たなければならなくなっている。受注残が積み上がっているため,価格は底堅く,利益幅も健全である。そのせいで中古機の値上りが進んでいる。
ビジネスジェット市場は2006年が好況のピークとの予想
530-231215 *Avtn.Wk. 2005-11-7 p.43図
 ビジネスジェット市場が好調である。2006年は記録的な年になり,出荷機数は約140億ドルに相当する800機を超えると予測されている。General Aviation Manufactures Assn.の報告では,2005年1〜9月のビジネスジェットの出荷増は30%を超えるという。景気回復した米国経済が需要を高める一因になっている。また東欧,中国,中東での市場拡大が,米国市場への依存度を下げることになる。Honeywell社は,今後5年で北米への出荷が占める割合は,現在の75%から60%に下ると予想している。
短期的には大型機の需要が伸びると見られるリジョナル・ジェット機
530-231216 *Avtn.Wk. 2005-11-21 p.49表
 リジョナル・ジェット機メーカーEmbraer社(ブラジル)は,30〜120席の航空機の今後20年間の需要予測を発表した。市場規模は,2004年予測の7800機から7950機に引上げられた。だが重要なのは短期的傾向であろう。2006〜15年の売上げ予測を見ると,30〜60席の航空機が650機から500機に下方修正されたのに対して,91〜120席では1250機から1550機に拡大された。同社でも,大型機の生産機数は2006年下半期まで月に10%のペースで増加すると見込まれる。リジョナル機の最大市場は北米と見られており,同社は53.3%が同地域に配備されると見ている。次いで,欧州(18.2%),中国(7.4%)。
航空宇宙産業でもオフショアリングが進むと予測されている
530-231217 *Avtn.Wk. 2005-11-14 p.58〜59図写
 供給拠点を低コスト国に移すことに関して,航空宇宙産業は他の産業に後れている。しかし,PRTM社及びComputer Sciences社の最新の調査によると,今後数年で状況が劇的に変化する可能性があるという。オフショアリングは批判されがちだが,米国の雇用を安定させることにもなっているとGoodrich社のMarshall Larsen氏はいう。政治的懸念などから,短期的には商業機のみに制限されているが,コスト削減のプレッシャーが大きくなれば重要でない軍需品にまで広がる可能性がある。
カーボン・ファイバー複合材料が航空機用でアルミの牙城に迫る
530-231218 Fin.Times 2005-11-2 p.SR5写
 アルミは,航空機の材料として長い間重用され,現在でも大型機の機体の4分の3がアルミ製である。だがカーボン・ファイバーの登場で,航空機産業でのアルミの優位が揺らいできた。ボーイング社は,新型787を複合材料で製造すると決定し,エアバス社もA350の主翼部分に使用するという。複合材料と新型エンジンの使用により,燃費や操業コストが削減できるためだ。これに対してアルミ・メーカーのAlcoa社(米)とAlcan社(加)は,アルミ・リチウム合金の開発に取組んでいる。
米国航空宇宙産業の業績は好調だが軍事部門では好況終焉の兆し
530-231219 Avtn.Wk. 2005-10-31 p.30,32図表
 米国の航空宇宙産業にとって2005年は良好な年だった。ロッキード・マーチン社の収益は前年比で39%増加している。だが商業機では好調が持続しそうな一方,軍用機部門は好況終焉の兆しが見られる。国防総省が直面している財源不足は,今後6年で少なくとも600億ドルに達する。これにより高額予算の計画がカットされる可能性がある。米国では,軍用機とアビオニクス出荷は上昇しているが,新規発注額は横ばいである。また2005年の1〜9月でロッキード社の受注残は約50億ドル減少した。
社用ビジネス航空市場は好調だが政治問題が暗影を投じている(米)
530-231220 Avtn.Wk. 2005-11-7 p.74〜76,78〜79図写
 弱い企業収益や高い燃料費などが成長を脅かすのではと懸念されているにもかかわらず,ビジネス航空産業は2007年まで好況が続くと見られている。NBAA(全米ビジネス航空協会)のEdward M.Bolen会長兼CEOは,ビジネス航空産業の成長が健全であると述べている。とはいえビジネス航空産業は今後の展望を左右するほどの難題に直面している。Bolen氏によると,NBAAと航空産業が直面している懸案事項は,FAA(連邦航空局)の再授権法案と空港アクセス制限であるという。また2004年起きた多数の事故も懸案要因となっている。
NBAA 2005での議論の中心はユーザー・フィー問題
530-231221 *Avtn.Wk. 2005-11-14 p.40〜41図写
 2005年のNBAA(全米ビジネス航空協会)の会議は,ハリケーンの影響で急遽Orlandoに変更されたにもかかわらず,出席者は2万3000人を超え,好調な市場を反映していた。会議で議論の中心になったのは,user feeの問題だったことを,NBAA会長兼CEOのEdward M. Bolen氏は明らかにした。現行の燃料税が合理的な方法だと考えているNBAAは,この提案に反対していくという。この会議の他のトピックとしては,ACJ(Airbus Corporate Jet)の販売が97年以来50機に達したこと,Boeing Business Jetは96年から102機が売れていることなどが挙げられている。
発展するカナダの航空宇宙業界(特集)
530-231222 *Avtn.Wk. 2005-11-21 p.62〜74表図写
 Bombardier,Pratt & Whitney Canada,CAE社などの一流企業に牽引されて,カナダの航空宇宙業界は90年代に飛躍的発展を遂げた。だがR&D投資や生産性に関する問題が2001年の景気後退とともに表面化して失速した。同業界は現在,スリム化,事業の一点集中への転換を図っている。この特集の項目は,(1)Bombardier社再建を目指すCEOのRobert Brown,(2)長期的戦略ビジョンを確立するために産学官が協力,(3)Bombardier社COO Pierre Beaudoin氏インタビュー:C-Seriesへの批判に反論など。
仏トゥルーズに航空宇宙産業の拠点がスタート,中小企業の参加拡大も
530-231223 *Usine Nouv. 2005-11-3 p.44〜45図
 政府プロジェクトの航空宇宙産業競争力強化計画の拠点が,正式にトゥルーズに決定した。その結果エアバス,Thales,Safran,Dassault Aviation,EADS Astrium,Alcatel Alenia Space社などの大手メーカーや大学,研究機関,また200社近い装備メーカーや下請企業が同地域に集まり,“Aerospace Valley”が発進する模様で,12の計画と36の技術研究に最終的に絞り活動していく予定。すでに4計画が組織化されている。数十億ユーロと見られる巨大プロジェクトの80%以上に中小企業が参加し,大きな恩恵を受けると期待されている。
ポーランドで離陸する航空産業集積地Podkarpacie
530-231224 Fin.Times 2005-11-23 p.SR4写
 ポーランド南東部にあるポトカルパチェ地方は,2年前にUnited Tecknologies社(米)傘下のWSK Rzeszow社が中心となって約20社の航空関連企業を集結させて以来,欧州の最も貧しい地方から投資家が強い関心を寄せる“Aviation Valley”に変貌した。WSK社は旧社屋を再建し,欧州随一の先端的技術に対応しており,アクセスの良さに加えて同地域の質の高い労働者とドイツの7分の1の賃金は,外国投資家にとって大きな魅力となっている。
航空機産業ではインドへのアウトソーシングはゆっくり進んでいる
530-231225 *Avtn.Wk. 2005-11-14 p.60〜61写
 価格競争のプレッシャーにより,多くの航空宇宙企業が高い技術力を持つインドに注目している。航空機業界の設計支出の90%以上を占める同国のソフト上位10社は,今後3〜4年で10億ドルを超える市場を形成すると,Nasscom(インド・ソフトウェア・サービス協会)は予測している。とはいえ政治的な反対があるので,企業もアウトソーシングのプランに関しては口を閉ざしている。またInfosys社がエアバスA380の主翼の一部をデザインするなど,工学的設計の分野でもインドへのアウトソーシングがゆっくりと始まっている。
ドバイ・エアショーでの大量受注でボーイング社がエアバス社を抜き返す
530-231226 Handelsblatt 2005-11-22 p.17写
 ドバイで開催されたエアショーで,ボーイング社は,138機,170億ドルの受注を獲得し,2000年以来初めて新規受注でエアバス社を抜くことが明らかになった。そのうちEmirates航空から長距離旅客機B777を42機受注し,また新型機B787の大量受注も予想されることから,エアバス社の顔を曇らせた。従来はB787の座席数が少ないことでエアバス社側がA350への希望をつないでいた。2005年に入ってボーイング社の新規受注は665機,一方でエアバス社は494機となり,形勢は逆転した。
エンジニアと製造者を対面で話し合せるために多額の投資をしたボーイング社
530-231227 *Mech.Engineering 2005-11 p.32〜34写
 ボーイング社は,737型機の開発・製造に当た,技術部門と工場を分離し,FAXや電子メールで意思疎通を図らせていたが,命令の変更が必要以上に煩雑になるなど,悪影響が少なくなかった。そこで同社は両部門を巨大な格納庫に同居させることにして,1年前に大がかりな移動を行った。何千万ドルもかけた18カ月のMove to the Lake計画だが,今のところ計量は困難なものの,効果は上々のようだ。特に従業員を追加する必要性が生じてないことが,何よりも効果を証明していると同社首脳は考えている。
ノンストップ飛行で記録を塗り替えたボーイングの777-200LR機
530-231228 Wall Str.J. 2005-11-11 p.A1,A6写
 ボーイング社は東回りで香港から英ヒースローまで22時間42分のノンストップ・フライトを達成し,1万3422法定マイルという大型ジェット機の新記録を打ち立てた。この記録を達成したのは2億2000万ドルの777-200LR機で,ライバル機のエアバスA340-500より約1時間長く飛行した。長時間の商用フライトは,すでにSingapore Airlinesが米ニューワーク〜シンガポール間の18時間のフライトをA340-500で提供しているが,ボーイング社は乗客は余分な運賃を支払っても,直行便を選ぶと踏んでいる。ボーイング社はQantas Airways(豪)と組んで,ロンドン〜シドニー間の直行便実現に向けて努力している。
ボーイング社が747ジャンボ・ジェットの更新版の開発を決定
530-231229 Wall Str.J. 2005-11-15 p.B3
 ボーイング社は,エアバス社のA380に対抗するため,老朽化した747ジェットの更新版の開発を決めた模様。同社が747 Advancedの開発を決めたのは,日本貨物航空(NCA)が1機2億ドルの747を8機注文したことがきっかけだと見られている。最初の機の就航は2009年後半と予想されている。航空貨物輸送会社の間では,燃費の良い航空機への需要が高まっており,ルクセンブルクのCargolux Airlinesも,更新版747を最大10機発注すると見られている。同時多発テロ以降,燃費高騰とチケット代下落により,747は運用費がかかりすぎると敬遠され,2003年の発注機数はわずか4機だった。
ボーイング社,ジャンボ機747-400型機の後継機747-8を市場に投入
530-231230 *Avtn.Wk. 2005-11-21 p.24〜25表写
 ボーイング社の747-400型機に対抗して,エアバス社は2001年にA380型機の開発を開始した。これへの対応として2005年11月14日,ボーイング社は新たに747-8型機の開発を開始した。旅客,貨物ともに747-400型の後継機となる。2009年11月にルクセンブルクのCargolux社,同年第4四半期に日本貨物航空に,それぞれ最初の機が引渡される予定。ボーイング社は今後20年間の450席超の航空機の市場規模を900機と見ており,747-8型で半数以上のシェアを獲りたいとしている。同社のRandy J.Tinseth氏は,同型機の受注の60%を旅客機で,40%を貨物機から得ると見込んでいる。
ドバイ・エアショーでA380型機の新規顧客獲得を期待するエアバス社
530-231231 Avtn.Wk. 2005-11-28 p.43〜44写
 エアバス社は,航空会社各社に対してA380型航空機のオプション契約を本発注に転換するよう薦め始めている。A380型の製造枠は2010年末まで埋まっており,一部の航空会社は長期間待たされるのを回避しようとしている。同社のGustav Humbert社長は,数年内に新規1〜2社とA380型の売買契約を交わすことになると見ている。同社はまた,顧客からの需要が膨らんでいるA350型機の生産ペースを,当初の予定より加速させることも検討している。
エアバス社が将来的に機体構成の70%までを外国に生産委託の方針
530-231232 Handelsblatt 2005-10-17 p.11写
 欧州の航空機メーカー,エアバス社は,将来は部品生産の70%程度までを外部の部品メーカーに委託する方針を打ち出し,委託先には中国,ロシア,インドなど市場拡大が期待できる国を重点対象とする。これはボーイング社が新機種B787の構成部品の30%を日本に生産委託し,大量の販売と開発費の一部を日本に期待する戦略を取った例にならったもの。エアバス社は,現在好調な受注も2008年から11年には下降サイクルに入ると見て,委託に伴う大幅なコスト節減を重視している。
エアバス社と下請企業の関係が悪化
530-231233 *Usine Nouv. 2005-11-17 p.10〜12写
 エアバス社の新型機(A400M,A350)計画で,航空機業界は中小納入業者を含めて活気付き,景気は立ち直りつつある。だが一方でエアバス社が,価格,納期,品質など多くのプレッシャーを納入業者にかけている。例えば15億ユーロのコスト節減計画Route 06などにより,平均15%の値下げを要求しているおり,また全ての発注をドル決済で行うやり方は,通常ドルでの支払い方法がない企業をいらだたせている。すでにいくつかの中小企業はエアバス社のコストダウンに対応できず,赤字に陥ってる。しかし多くの下請企業が生き残りをかけて,低コスト国への移転など企業努力を行っている。
エアバス社の新ジャンボ機A380の後流により飛行規則の変更の必要も
530-231234 Wall Str.J. 2005-11-22 p.B1,B4
 国際民間航空機関(ICAO)による航空交通管制手引きの暫定版によると,エアバス社のA380は現在使用中の大型ジェット旅客機よりもかなり強力な乱気流を生み出す模様で,安全問題に懸念が生じている。同手引きでは,従来の最低間隔5海里に対してA380の場合,後続機に10海里の間隔を求めており,最終版がそれに近い形でまとめられれば,同機のセールスポイントのひとつである効率性が損なわれることになる。特に直接同じルートで巡航高度が同じ場合,15海里の間隔が推奨されている。エアバス社はすでに160機弱の受注・契約を得ているが,損益分岐点にはさらに90機の受注が必要である。
手厚い顧客サービスで成果を上げるロールスロイス社のジェットエンジン事業
530-231235 *Bsns.Wk. 2005-11-14 p.30〜31図写
 ロールスロイス社はこの15年間で,GE社に次ぐ世界第2位の商用機エンジン・メーカーに浮上した。長期のきめ細かいアフターサービスを求める航空会社のニーズに応えてきたからで,例えば “Total Care”と呼ばれるサービスでは,衛星通信を使い,飛行中のエンジンの状態を常時モニターしている。しかもサービス/メンテナンス事業の粗利は30%と高い。商用機用(全事業に占める割合51%)で大型機用Trentシリーズが新型機用エンジン商戦で成功(B-787用のシェア86%,A-380用はGE社と半々)している他,John Rose CEOの下,軍用機,海洋エンジン,発電用など業容拡大も果たしている。
ビジネス機ブームで成長が期待される内装のLufthansa Technik社(独)
530-231236 Avtn.Wk. 2005-11-21 p.50写
 高級ビジネスジェット機の需要が高まり,新モデルの発売が相次いでいる。この潮流から最も恩恵を受けている企業としてLufthansa Technik社(LHT)が挙げられる。例えば11月初めにエアバス社が公開したA318の派生モデルEliteは,LHT社が内装を担当する予定。ラウンジの席数は14と18から選べる他,レーザー溶接,液晶ディスプレイ,高度なキャビン管理システムなどの技術も投入される。Eliteはスイスのチャーター機サービス会社Comlux社が購入契約を交わしている。LHT社はBombardier社(加),ボーイング社との関係も深めている。
ターボプロップ航空機のATR社,受注殺到で生産力改善へ(仏)
530-231237 *Usine Nouv. 2005-11-10 p.26
 EADS社とAlenia社(伊)が50%ずつ出資する,ターボプロップ・エンジン航空機製造のATR社は,2005年に入り,航空会社9社から70機を受注した。2001〜04年は年平均15機の新規受注と伸び悩み,特に2003年は受注10機,引渡し9機で,サービス事業と中古機でかろうじて収支を維持していた。受注急増の理由は,石油価格の高騰によって燃費が通常のジェット機より40%低いターボプロップが注目されたことと,低コスト航空会社の出現。2006年に24機,2007年は30機以上の製造を予定している同社は,製造サイクルを18カ月から12カ月に短縮し,Toulouse組立工場の新雇用を20人に抑えつつ,最大効率化を実現する。
SMA社,Safran社の子会社として再出発(仏)
530-231238 Usine Nouv. 2005-10-27 p.26写
 軽量飛行機用ディーゼルエンジンのSMA社(Societe de Motorisations Aeronautiques)は,巨額の損失を抱えて倒産寸前だったが,このたび大手エンジン・メーカーSafran社の子会社になり,推進装置部門に統合されて再出発を図る。SMA社は97年の創業以来,3大株主(Renault Sport,EADS,Snecma社)が所有してきたが,経営戦略の決定上,効率的ではなかった。この100%子会社化によって,ディーゼルエンジン生産に専念する方向性が明瞭になった。世界最大の米国市場で,米国2大メーカーTCM,Lycoming社との提携も視野に入れながら,今後展開していく意向である。
Piaggio Aero社(伊)が米国から新型機P 180 Avanti Uを36機受注
530-231239 24 Ore 2005-11-15 p.11図写
 Piaggio Aero Industries社は,ニューヨークのAvantairから新型ビジネス機P 180 Avanti Uを36機受注した。受注額はPiaggio Aero社にとって過去最大規模の2億3000万ドル。最近型式証明を取得したばかりのP 180 Avanti Uの受注数はこれで106機(6億4000万ドル)となり,Piaggio Aero社の受注残8億2000万ドルの大半を占める。航空機の共同保有事業を営むAvantairは,これまでにP 180 Avantiを44機発注(うち21機が引渡し済み)している。
エアバス,ボーイング両社がロシアで長距離旅客機の受注競争
530-231240 Handelsblatt 2005-11-7 p.14写
 ロシアの航空会社アエロフロート社は,エアバス社とボーイング社のどちらかに30億ドル相当の長距離旅客機の発注を行うが,その際エアバスA350とボーイング787が対象となる。両社は受注を巡って激しい競争を繰り広げているが,利点として,エアバス社は戦闘機メーカーIrkut社への資本参加でエアバス部品の現地生産も手掛け,将来的に部品の3%までをロシア製にする予定。一方ボーイング社はロシアに設計センターを設け,さらに中距離地域ジェット機の開発をSukhoi社と共同で行っていることである。
中国が中距離旅客機各150機の発注でエアバス,ボーイング両社と交渉
530-231241 Handelsblatt 2005-11-4 p.19写
 エアバス社とボーイング社は,それぞれ中距離旅客機150機,約75億ユーロの受注について中国政府と交渉を行っている。エアバス社は,少なくとも供給の一部をA320モデルで交渉する予定であり,一方でボーイング社は737型機を対象としているが,かなりの値引きを余儀なくされる。また将来的には,中国での組立も視野に入れている。専門家によると,中国では2025年までに合計450機の中距離機が必要と見られ,両社にとって見過ごせない市場となっている。
成長する中東の航空市場とエアバス,ボーイング両社の対応(特集)
530-231242 *MEED 2005-11-18 p.37〜58表写
 中東では,景気の上昇に伴い2005年1〜9月に域内の航空旅客数が14%増加した。航空会社は輸送能力の拡大に乗り出しており,2023年までに中東及び北アフリカで1000機以上,額にして1240億ドル規模の需要が発生するとエアバス社は予測している。他の項目は,(1)2008年までに中東市場での優位回復を目指すボーイング社,(2)破産寸前から立ち直り,2004年に黒字を回復したGulf Air社,(3)英国〜サウジ間航路で英国側からBMI社がサービスを開始,(4)反撃する欧州系航空会社,(5)ついに民営化に踏み切る可能性が高まったRoyal Jordanianなど。