<その他電子機器>
インタビュー/開発コストの分散を目的として企業間協力を行う半導体製造装置業界
523-228904 *Elec.Bsns. 2005-4 p.32写
 半導体業界では技術開発コストの高騰に対処するために共同R&Dを行うケースが増えているが,半導体生産設備業界でも同様である。Aviza Technology社(米)CEOのJerry Cutini氏によると,最新設備の開発費は10年前と比べて2〜3倍に上昇しており,できる限り多くのパートナーを集めて負担を分散している。高コストがもたらした他の現象として起業の減少が挙げられる。代りにLBOで資産を買収して新企業を設立する方法が用いられるようになってきている。
次世代DVDで新方式合意へ向う映画界と電子機器メーカー
523-228905 *Wall Str.J. 2005-4-15 p.B1,B7図
 映画産業では,すでにDVD版が年210億ドルの市場となっているが,次世代DVDの登場で違法複製に歯止めがかかるとともに,市場が一層拡大することに期待している。これまで録画再生方式の統合に抵抗してきたBlu-rayとHD-DVD両陣営は,映画界の首脳とともに新方式への統合を検討し始めた。映画界に人脈を持ち,辣腕の折衝力で知られているHoward Stringer氏がソニーの新CEOに就任したことで,この統合には現実味が出ている。同氏はソニーの前経営陣よりはBlu-rayに固執しないとも言われており,同氏は妥協をカードに使えば,映画界と電子製品小売業界の分裂を回避して信頼を勝ち取ることもできよう。
EDA用アナログ回路の問題解決にアナログ・コンピュータを利用してはどうか
523-228906 *Elec.Bsns. 2005-4 p.26写
 アナログ回路にはEDA(電子設計自動化)開発者の設計能力を超える複雑な相互依存性があるため,デジタルに比べて設計が困難である。自動レイアウトの問題点を解決するには,人工知能の飛躍的進歩が必要との見方がある。人間の脳はこれまでデジタルだと考えられてきたが,最近の研究でむしろアナログに近いことが判明した。EDAの開発でも,アナログ回路の問題を解決するためにアナログ・コンピュータの研究を進めることが将来の課題となる可能性もある。
欧州の軍用電子産業で再編の動き活発化,各国の思惑で難航も
523-228907 Handelsblatt 2005-3-22 p.14写
 欧州の軍需産業は,各国の予算減と強い米国企業への対抗上,再編の方向に進んでおり,各種の組合せが話合われている。フランスの通信設備メーカーAlcatel社は,衛星部門を国内の軍用電子メーカーThales社に売却し,逆にThales社の株式25%以下を保有する。またフランス政府はThales社を欧州EADS社に買収させようとしているが,EADS社の大株主ダイムラー・クライスラー社の反対により交渉は難航している。また誘導ロケット計画で,Thales社はFinmeccanica社(伊)と共同化を計画している。
コンテナへの内蔵センサ搭載によりセキュリティ・チェックを容易に(米)
523-228908 *Wall Str.J. 2005-3-31 p.B4,B5図写
 世界では1800万の貨物専用コンテナが搬送されている。しかし米国に搬入されるものだけでも,その6%程度が物理的に検査されているに過ぎない。国土安全保障省はテロ対策として,コンテナ内に申告の内容とは異なるものが入っている場合には当局へ警報を出す検知器「スマートボックス」の取付けを考えている。6社がその製作に応募している模様で,4月から試作品がテストされ,1年以内にコンテナ1000箱で実地調査され,2007年3月には本格的に使用される予定。
隠し持っている武器を探知するミリ波カメラが開発される(米)
523-228909 *Wall Str.J. 2005-4-13 p.B9
 衣服の下に隠し持っている武器や弾薬を探知するミリ波カメラが,宇宙探査技術を使って開発されている。この画像融合技術は,軍,警察,空港警備,コンビニなどでも利用が考えられているが,戦場で使えるまでにはまだ数年を要すると見られている。しかし民間では,ロッキード・マーチン社から技術供与を受けたBrijot Imaging Systems社が,45フィート先からでも武器を隠し持っていることがわかるビル保安用ミリ波カメラを発売している。
世界のゲーム・ソフト業界:波に乗る米国とマンネリでシェアを落とす日本
523-228910 *Bsns.Wk. 2005-4-4 p.18〜19図
 2000年に米国で販売された家庭用ゲーム・ソフトのうち,日本製は1/2を占めたが,2004年は29%までシェアを落とした。日本製が相変わらず家族向けの空想的なゲームを指向しているのに対して,世界の嗜好の潮流は米国製の血なまぐさいアクションものに移っている。例えばTake-Two Interactive Software社製のGrand Theft Autoなど,10代の若者が好むヒップホップもの,スラムでの撃合いといったゲームは,日本人開発者の感性から遠い。また米国製には多い映画との抱合わせ(Electronic Arts社のハリー・ポッター,ロード・オブ・ザ・リングズ,Acctivision社のスパイダーマンなど)も日本はしていない。
映画「マイノリティ・リポート」が“ジェスチャー技術”開発を刺激(米)
523-228911 Wall Str.J. 2005-4-12 p.B1,B7写
 軍需企業Raytheon社は,トム・クルーズ出演のSF映画「マイノリティ・リポート」に刺激され,画面上に映し出されている情報を特殊手袋をはめた手先の動きだけで操作できるシステムを開発している。この技術は,コンピュータとジェスチャーにより交信するため,手によってマウス5〜6個分の処理が可能になり,衛星,探知機,兵士などからもたらされる膨大な情報処理に援用できる。同社は,リアルタイム・ビデオと地図をデータベース情報に連動させて,戦況を即時に分析するシステムを思い描いている。民生用では,キーボードやマウスを使わないコンピュータ操作技術にも繋がると見られている。
知財権を商業化することで復活しビデオのパイオニアAmpex社(米)
523-228912 *Bsns.Wk. 2005-4-18 p.63〜64図写
 1956年に米国で最初に商業用ビデオ・テープレコーダを開発し,当時はシリコンバレーでも最先端のハイテク企業であったAmpex社は,数年前までは忘れ去られた存在となっていた。しかし同社は,その間に取得した多数の特許を商業化し,大手家電メーカーに対して訴訟を起こし,複数のアジア企業とライセンス契約を結んだ。これにより同社は復活し,株価は前年の1ドルから40ドルにまで急上昇した。これは単純な逆転ストーリーではなく,知的所有権の重要性を示す例である。同社の業績維持には,このビジネスモデルを投資家に認知させられることが必要。
EDA需要喚起のため不採算の設計サービス部門を維持するCadence社(米)
523-228913 *Elec.Bsns. 2005-3 p.44図
 電子設計自動化(EDA)企業のCadence社は,9年前に成長戦略として設計サービスに参入し,半導体のニーズすべてに対応できるワンストップ・ショップへの転身を図ったが,結果として同サービスは同社の収益性を損なっている。同社が依然として設計サービスを維持しているのは,EDA市場の成長を持続させるためである。例えば新興のデジタル・オーディオ装置メーカーD2Audio社の設計支援を行うことで,迅速に最初の製品を市場化させることに成功した。
零細検査装置メーカーAugust社を巡って大手までが動き出す買収騒動に(米)
523-228914 *Elec.Bsns. 2005-3 p.50
 August Technology社は,2004年の売上げがわずか6700万ドルであった小規模な欠陥検査装置メーカーであるが,他社が欲しがる技術を持っている。2005年1月に同社と測量機器メーカーNanometrics社の合併計画が発表されると,Rudolph Technologies社が株式の割増買い取りによる買収をAugust社に持ちかけてきた。Nanometrics社との合併を優先して断ると,今度は大手のKLA-Tencor社がさらに好条件で買収を仕掛けることを公表した。これらの買収合戦は,欠陥検査が重要な技術となりつつあることも示している。