<自動車部品>
納入先からの値下げ圧力と低コスト国の追い上げて瀕死の米国自動車部品業界 522-228724 Economist 2005-3-12 p.59
 米国の自動車部品業界では,10年にわたる価格競争に疲弊して,ここ数カ月間倒産が相次いでいる。先週最大手のDelphi社が帳簿の改竄を公表したので,状況がさらに悪化する恐れがある。自動車メーカーは部品会社に対して,最良の部品の要求すると同時に価格引下げ圧力も強めている。さらにはメキシコや中国など低コストの国から年間500億ドル規模で部品を購入することも検討しているので,米国の自動車部品企業は生き残りに苦心している。
元の親会社から引き継いだ労務費と退職コストの重荷に喘ぐ米国自動車部品産業 522-228725 Bsns.Wk. 2005-3-14 p.82図写
 99年にGM社がDelphi社を,また2000年にはフォード社がVisteon社をスピンオフし,部品費用の軽減を図ったが,現在両社とも赤字に転落している。販売不振の元親会社への依存度が依然高いことに加え,何よりUAWとの協約で現行では対策の打ちようがない重い労務費(組合員の労務費は一時間70ドルでライバルの60%高,レイオフしても90%を保証する必要,退職者コストも肥大化)が原因。ビッグ3はメキシコ,アジアへの調達先変更をちらつかし,現地日系・韓国系企業はUAW加盟工場からは調達しない。活路と期する中国立地や電子部品強化も根本的な問題解決にはならない。
活況に沸く韓国自動車部品産業に忍び寄る中国の影 522-228726 *Bsns.Wk. 2005-3-21 p.22〜23図写
 韓国は自動車部品産業の集積地となっており,米国のVisteon,Delphi,ドイツのRobert Bosch,日本のデンソーなど200以上の外資系企業に加え,現代モービスなど国内企業も成長してきた。日本の高品質・高価格,中国の低価格・低品質の中をとったバランスの良さが評価されただけでなく,韓国自動車メーカーの興隆も産業規模拡大に寄与しており,売上げは業界全体で2005年364億ドルに上ると見られる。しかし2〜3年のうちに中国が技術的なギャップを狭めると見られるだけでなく,戦闘的な労組が技術革新や効率化に反対する恐れがあるため,ブームは短命の恐れがある。
カーエレクトロニクスでも知名度高まる自動車最大手Delphi社の戦略(米) 522-228727 *Auto.Design & Prod. 2005-2 p.42〜43写
 Delphi社は,世界最大の自動車用電子メーカーであるが,自動車業界以外では知名度が高くなかった。同社はこれまで,ソニーやパイオニアのように,トレンドに対して迅速な投資ができなかったが,その状況は変わりつつある。またナビゲーション・システムやデジタル情報端末が進化するにつれて,自動車の構造に精通するDelphi社のような企業だけが,既存の機能を阻害しないアフターマーケット製品を提供できるという。
顧客企業,納入企業との共存と品質向上で生き残り図る自動車部品のFNOK社(米) 522-228728 *Auto.Design & Prod. 2005-3 p.56〜57写
 自動車部品メーカーFreudenberg-Nok社(FNOK)CEOのMohsen Sohi氏によれば,この業界ではコストと品質に対する圧力が恒常的に存在する。またSix Sigmaレベルの品質を提供しても,それだけでは不充分と考える顧客もいる。このため同社は,顧客企業の従業員に対する研修や認定に1人当り1万5000〜2万ドルを支出して,Six Sigma推進に絶えず努力している。これは顧客業者だけでなく,同社への納入企業の向上のためでもあるという。絶えずベンチマーキングを行うことも重要と同氏は考えている。
自動車部品と西欧市場への依存度低減を目指すBosch社(独) 522-228729 *Fin.Times 2005-3-7 p.18写
 Bosch社は,ESP,低公害燃料ポンプなど安全性と環境に配慮した製品により,2004年に世界最大の自動車部品メーカーとなったが,Fehrenbach CEOは,更なる成長に向け,家電・産業用機器のBSH社(ジーメンス社との合弁)の強化(中国南京に新工場・研究所を建設など)を通じた自動車部品への依存度低減(現在63%を55%に),大陸毎に,R&Dは日米独,製造は中国,メキシコ,東欧に集中するTriad計画などによる西欧以外の市場拡大に取組む。自動車部品では最近,自動車メーカーを生産中止に追込む欠陥問題が発生,再発防止にコスト増の徹底的検査体制導入を余儀なくされている。
Aston Martin社,高級車DB9に自動車にエンジン監視の人工知能を導入(英) 522-228730 Fin.Times 2005-2-18 p.9
 Aston Martin社(フォード・グループ)の高級車DB9の2005年バージョンには,エンジンを監視するための人工知能が搭載されている。シリンダで不燃現象が起きると有毒な排ガスの量が増加するが,人工知能は不燃の状態を調べ,一定レベルに達するとドライバーに警告を発する。この人工知能により,従来は困難だった,ごく短時間での不燃の判別が可能となる。同社のように自動車メーカーは,欧米の排ガス抑制法に対処するために,不完全燃焼を迅速かつ正確にチェックする手法の開発に取組んでいる。
現代自動車(韓),ジーメンス社と提携して電装品の現代オートネットを買収へ 522-228731 毎日経済新聞 2005-2-25 p.A15
 現代自動車は,ジーメンス社とコンソーシアムを結成して,銀行管理下の自動車電装品メーカー現代オートネットの買収に乗り出した。両社は,5月をメドに車体制御モジュール(BCM)の設計会社を合弁で設立する予定で,今回の払い下げが成立すれば年間3000億ウオン規模の売上げが期待される。しかしこれにより韓国カーオーディオ市場は,系列のボンテクの製品を含めると,70%を現代自動車系が支配するため,独禁法抵触を恐れてジーメンス社と組んだもの。現代オートネットの時価総額は6300億ウオンで,50%以上を管理会社の資産保険機構が保有している。
オープンカー用に布製に代るハードルーフを売込むEdscha社(独) 522-228732 Fin.Times 2005-2-23 p.21写
 ドイツの自動車部品メーカーEdscha社は,コンバーチブル市場に参入し,ハードルーフ製品で,従来のオープンカーのスポーツカー的なイメージを自動車産業の主流の一部に転換しようとしている。同社は,金属またはプラスチック製の屋根を車体に収めるシステムを開発しており,布製のルーフに代ってコンバーチブルの主流になると期待している。オープンカーは新車販売の1%を占めるに過ぎないが,安価で軽量なハードルーフが開発されればドライバーの購入意欲を刺激するだろう。