<インターネット関連・コンテンツ産業など>
インターネット誕生から10年で日常生活はどのように変ってきたか
527-229909 *Fin.Times 2005-8-5 p.9図写
 この8月で,インターネットが実質的に誕生しと言われたNetscapeのIPOから10年を迎えることになる。同社のブラウザ・ソフトがネットを普及させる上で果たした役割は大きい。eBay やYahoo,Amazon.comなどの企業を生み出すことにもつながっている。また2004年のオンライン広告の市場規模は150億ドルに達した。それと同時に,メディアをリードする企業は,過去の失敗を教訓にビジネス・プランを練り上げている。だが今後10年の変化はこれまでの10年間の変化よりもさらに大きなものになるかもしれない。
プロバイダーの勢力拡大によりアクセス制限に関する懸念が高まる(米)
527-229910 *Wall Str.J. 2005-8-8 p.A1,A6
 インターネット接続に高速ネットやブロードバンドを利用する米国人がますます増えているため,アクセスを提供する通信やケーブル会社の力が強まっている。ブロードバンド会社が顧客に特定のサイトにアクセスさせないようにする技術も開発されている。ブロードバンド会社がその力を利用して自社の商用コンテンツを宣伝し,ライバルを排除するとしたら,自由かつ革新的なウェブが機能不全に陥ると危惧する声もある。今のところそうした証拠は見つかってないが,過去には情報パイプラインの所有者がある企業を贔屓しようとした時,利害の対立が生まれている。
ブロードバンドの拡大と共に広がるインターネット音声通話
527-229911 *Wall Str.J. 2005-8-25 p.B1
 ブロードバンド接続のおかげで,コンピュータの利用者は話しながらゲームをしたり,デートの約束を取り付けたり,ビジネスを行うようになっている。デジタル技術の進歩により,音声を情報パケットで転送することが可能になったからで,ネット電話はインターネット企業にとって非常に重要になると見られているため,Googleも参入してYahoo,マイクロソフト,America Onlineと争っている。オンラインゲーム・ブームの立役者となったマイクロソフト社のXbox Liveでは,音声通話が可能であり,世界のオンライン・ゲーマー2000万人の20%が音声通話を利用していると見られている。
参入増加で急速に競争が激化するインターネット電話市場(米)
527-229912 *Wall Str.J. 2005-8-26 p.A1,A6図
 長年に及ぶ喧伝の後,インターネット電話の人気にようやく火がついたが,この技術の成功により,数十億ドル規模の電話事業が安価なコモディティと化す恐れが出てきた。サービスの人気を高めているのがブロードバンドの普及で,米国では3600万世帯以上がブロードバンドでネットに接続しているという(従来型のダイヤルアップは4000万世帯)。2005年末には米国人400万人が地域,長距離,国際電話をインターネットを通じて行うようになると見られており,その後3年間で1700万人にまで拡大する見込み。現在1億2300万回線の従来型の固定電話は衰退していくものと予想されている。
10周年を迎える電子商取引業界では先行者も新ビジネスモデルの開拓が不可欠
527-229913 *Economist 2005-7-23 p.56〜57図
 米国のAmazon,eBay,Yahoo!など電子商取引大手が相次いで創業10周年を迎える(4強のうちGoogleはもっと若い)。初期の業界ではWebvanはじめ失敗企業が続出し,Amazonですら黒字転換は2003年だった。最近でこそ4強の業績は好調だが,この業界ではそれに安住できない。4強もそれぞれ,物品販売,オークション,オンライン広告,Contextual Advertising( コンテンツ連動型広告)などライバル企業の領域に侵入して成長を図ろうとしている。この業界では,ある領域の先行者であっても,常に新たなビジネスモデルを出し続けないと生き残れない。ソーシャル・ネットワーキングで急成長している英国のFriends Reunited(創業5年)のように,新たなライバルが続々と登場してくるからだ。
オンライン・ストアにとって死活問題となる詐欺師の特定(米)
527-229914 *Wall Str.J. 2005-8-4 p.A1,A8図
 インターネット小売企業にとって,偽の注文を見分けるのは死活問題である。従来の店舗では,盗難クレジットカードが利用された場合,正統な手続きを踏めば,損失はカードの発行機関が負うことになるが,ネットではそれが逆になる。ネットで宝石を販売するGoldspeed.comの場合,不正注文は全体の30%に達しているという。ビジネスを開始した98年頃にはクレジットカード詐欺が最大の問題だったが,最近では手口が巧妙化しており,盗まれた個人情報から全く新しいクレジットカードを作成したり,追跡不能の携帯電話を使ったり,巨額の注文を避けるようになっている。
オンライン小売業者の長期的成功を左右するeco boomers(米)
527-229915 Wall Str.J. 2005-7-27 p.B3A
 eco boomers,Gerneration Y,millennialsなど,呼称は様々だが,70年代後半から90年代後半に生まれた層が,オンライン小売業者にとってはとりわけ重要になっている。若年時にコンピュータに触れた最初の世代として,この層はオンライン小売業者の長期的な成功を決定すると見られている。77〜97年に生まれた8300万人あまりは,46〜64年に生まれた7500万人のベビーブーム世代と同様に,仲間の購買行動に影響を与えるだけでなく,親世代の購買行動にも強い影響を与えると予想されている。この層は口コミの影響が大きいことから,ブログを使ったマーケティングが有効と考えられている。
タバコなどオンライン販売に対する課税計画を進める各州政府(米)
527-229916 *Wall Str.J. 2005-8-3 p.D3図
 現金が逼迫している米国の州では,オンラインによるタバコ購入でタバコ税を逃れている喫煙者から徴税する努力を強化している。インターネットでのタバコ販売は50億ドルに達していることから,今年だけで14億ドルの税収が失われている。オンラインのタバコ販売に狙いを絞ったことで,州間の販売を報告する必要が法律により強制されていない場合,どうやって売上税を徴収するかというより大きな問題も生じてきた。7500以上の州や地方自治体が4〜9%の売上税を課しているが,米国では洋服,書籍など消費者用品のオンライン販売は今年790億ドルに達する見込みで,徴税作業は悪夢と化すと見られている。
低コストのオンライン薬局は利益が上るが危険と隣り合わせ(米)
527-229917 *Wall Str.J. 2005-8-30 p.A1,A6図
 バイアグラをはじめとする性的不能治療薬は,正式な薬局では処方箋が必要だが,オンラインでは処方薬が匿名で簡単に手に入る。しかしオンライン薬局はほとんど保健当局による規制も監視も行われておらず,無免許で処方薬を販売しているケースがほとんどだ。食品医薬品局(FDA)の犯罪捜査部(OCI)は,99年10月以来インターネット関連で180人を逮捕しているが,オンライン薬局は立ち上げ費用が安い上,偽造薬品は手に入りやすく,密輸入も簡単なことから,こうしたサイトは跡を絶たない。
優秀な生徒ほど大学のオンライン教育を利用する傾向,大学側も恩恵大(米)
527-229918 *Wall Str.J. 2005-8-19 p.B1,B5
 今日学力の高い生徒は大学のオンライン・コースに登録し,高等数学や英語学から歴史学,哲学,解剖学まで幅広い授業を受けている。こうしたオンライン・コースにより,大学は収入を得るだけでなく,優秀な生徒の募集手段として利用できる。コースの費用は120ドル〜1000ドルまで様々。スタンフォード大学の優秀な生徒向けの教育プログラムは登録者が前年より15%増,ジョンズ・ホプキンズ大学てせも20%増加した。遠隔学習市場の中で,優秀な生徒向けは最も急成長している分野の1つで,Apex Learning,Centra Software,Smarthiking社などがオンライン・コースを発売している。
ソフト産業から検索エンジン業界へ大移動する優秀な技術人材(米)
527-229919 *Bsns.Wk. 2005-8-8/15 p.28〜31表図写
 Googleが最近引抜いた大物には,検索エンジンAltaVista生みの親Louis Monier氏(eBayから),自然言語のKai-Fu Lee氏(マイクロソフト社から)等がおり,第2四半期だけで約230人を引抜いた。Yahooもトップ技術者を数ダース規模で引抜いている。移動の動機は技術課題の魅力で,加えて技術オタクに合った企業文化(Googleは週1日は各自の好きな課題に割くよう奨励)もある。トップ人材が動けば,それが後続を誘い込む磁力となる。今や検索は大卒新人獲得でもソフトを凌ぎ,この地位を維持できれば,Google,Yahooは企業ラボの次の担い手となり得る。
商業ラジオ局を一変させる革命的な力を持つネット配信ラジオ“podcasting”
527-229920 *Fin.Times 2005-7-26 p.4
 様々な趣味の愛好家,宗教信者,果てはアップル・ファンまでニッチ向けに番組をネット配信する“podcast”が急増中で,リスナーは自由にダウンロードし,好きな時に聴ける。利益が出ているのは,ワイン愛好家対象のGrapeRadio等まだほんの一握りだが,非常に低コストで開設でき,商業ラジオ局の姿を一変させる潜在力を持つ。BBC(英)等伝統的な放送局も何らかの取組みを始めており,従業員向けpodcast開設を考える企業もある。問題は選局の複雑さで,チャンネルを合わせれば良い位の簡単さが必要。また当面広告収入に頼るとしても,安易な依存は問題。とはいえこの流れは最早逆転できない。
メディアとしての妙味を増してきたポッドキャスト(米)
527-229921 *Fin.Times 2005-8-30 p.7写
 生まれて1年にも満たないPodcastingにより,シカゴでは7月からiPodを使ってABCニュースを聴きながら動き回ることができるようになった。NBC,CBS,BBCなど,テレビ番組のコンテンツが聴けるテレビ局も増えてきた。メディアにとって,ポッドキャスティング向けコンテンツの独自性と収益力は重要な課題となっている。広告メディアとしての収益性も高まっており,これまでのように中小企業だけでなく,電話最大手のVerizon社もまもなくESPN局のポッドキャストで15秒広告を打つことが決まっている。
ネットは地域に向う:地域情報に高い価値を見出す検索エンジン
527-229922 *Fin.Times 2005-7-27 p.11図写
 検索エンジン大手による地図・地域情報サービス競争が始まり,今後地域の商業情報検索は年率約33%増との予測もある。(1)衛星写真で買物や食事の選択肢を示してくれるinteractive map(Google Earth,MSN Virtual Earth等):低コストではないが,解像度は高く,個々の建物や車まで識別可能。 (2)ユーザーの個人的知識をネット上で検索可能な形に:ブログ,social networking,Yahoo 360(一種のオンライン・スクラップブック)などのツールと検索の力を繋ぎ,地域情報のデータベース化を目指す。これらは消費者や商店主には恩恵だが,電話帳,地方新聞など旧メディアには広告収入に響く脅威だ。
削除されたウェブ・ページの内容も保存されているアーカイブを活用する法律家たち
527-229923 *Wall Str.J. 2005-7-27 p.A1,A4表
 400億ページをアーカイブ化しているWayback Machineや,Googleが追跡している80億ページのキャッシュを見れば,現存しないウェブ・ページやサイトの旧バージョンまであらゆる種類のオンライン・マテリアルを読み出すことが可能である。こうしたデータベースは歴史家や学者の人気を博しているが,とりわけ法律家には非常に魅力あるものとなっている。こうしたアーカイブ・ツールは,それがなければ手に入らなかったような証拠を素早く安価で掘り起こしてくれるからである。一方で米国財務省秘密検索局が削除を命じた情報も,キャッシュを使えば簡単に手に入るという問題も生じている。
急速な拡大が予想されるインターネット等のニューメディア広告
527-229924 Fin.Times 2005-8-15 p.15写
 米国のVeronis Suhler Stevenson社(VSS)の調査によると,インターネットの普及によって,広告費のオンラインへの移動,消費者の従来型メディア離れなどの抜本的変化が進んでいる。ケーブル及び衛星テレビ,インターネット,テレビゲームを通じたニューメディア広告の規模は,今後5年間に年率17%で拡大し,2009年には690億ドルに達すると推定される。また同年には,デジタル・メディアへの支出によって押し上げられた消費者の1人当り年間メディア支出が初めて1000ドルを超えると見られる。このような動向に対して,従来型メディア企業はインターネット関連の買収を進めている。
ハッカーの反応の短期化でコンピュータ・ウイルスの脅威が拡大
527-229925 Wall Str.J. 2005-8-18 p.B4,B5表
 ハッカーが新種のウイルスを相次いで送り出しており,企業の情報ネットワーク保護プロセスの欠陥を浮き彫りにしている。今週初めにCNN,ABC,クライスラー社等のシステムが相次いでクラッシュした後,沈静化したが,マイクロソフト社の脆弱性をついた新ウイルスの感染は再び増加する見込み。今回のウイルス騒動は,マイクロソフト社が欠陥を発表し,パッチを公開して1日後には欠陥をついたプログラムが出されている。ソフトのパッチは,脆弱性の詳細と共に公表されるが,企業のシステム・アドミニストレータは,システムが中断しないよう,パッチをテストせねばならず,そのラグを衝かれている形だ。
iTuneやブラウザなど人気ソフトに狙いを絞るようになったハッカーたち
527-229926 Wall Str.J. 2005-7-25 p.B3
 OSのセキュリティが向上するにつれ,ハッカーはアップル社のiTunesやReal Networks社のRealPlyayer,マイクロソフト社やMozillaのウェブ・ブラウザなどに目標を変えてきており,以前よりも脆弱性を多く発見するようになっている。2005年第2四半期のインターネット・セキュリティの脆弱性の新規発見数は422で,第1四半期より11%,前年同期より20%多かった。この事実は,近年のセキュリティ意識の高まりにもかかわらず,ソフトの欠陥の増加傾向が続いていることを表している。
インターネットの鬼っ子スパムメールに沈静化の兆し
527-229927 Economist 2005-8-20 p.46〜47図
 スパムメールの蔓延に終息の兆しが見える。eメール会社MessageLabs社によると,今年1〜6月の間に全メールに占めるスパムの比率は83%から67%に低下した。要因として,(1)フィルタ技術が進歩し,Postini社などのソフトでスパムのほぼ95%がブロックできる,(2)賢明になったユーザーがスパムを無視するので,スパマーはフィッシングなど,もっと刺激的な対象に向った,(3)米国の2003年CAN-SPAM法で,スパマーの資産差押えが可能になり,マイクロソフト社などが訴訟攻勢をかけている,などがある。もっともスパムは依然として頭痛の種で,対策技術に米国だけで年30億ドルのコストがかかり,世界で500億ドルの被害があるという。
新興ネット企業にベンチャーキャピタルが戻り始める(米)
527-229928 Wall Str.J. 2005-7-27 p.B3A
 99年の水準までは行かないが,ベンチャーキャピタル(VC)がインターネット新興企業に資金を注ぎ込み始めている。2005年第1四半期のVCによるネット関連起業への投資は前年同期比で36%増えて7億5380万ドルに達した。2004年第3四半期(17%増),第4四半期(30%増)に続き,3期連続で大幅に上昇したことになる。ブロードバンドの普及率が50%近くに達し,2004年の冬期休暇のオンライン支出が前年同期比25%増,オンライン広告支出が23%増など,投資にプラスの指標が出揃ったのも原因。今回の投資ブームはWeb 2.0と名付けられ,前回のバブルとは違って収入に焦点が当てられている。
飛行機内でのインターネットやメール利用が可能に(米)
527-229929 Wall Str.J. 2005-8-8 p.B1
 ボーイングのConnextion InternetサービスがSigapore AirlinesやLufthansaなどの72機で利用可能で,機内でインスタント・メッセージや電子メール,ネット・サーフィンなどが楽しめる。飛行中の通信技術を巡る最大の論点は,客室内での携帯電話の個人利用だが,連邦航空局と連邦通信委員会は現在の規制を撤廃する方向。IDC社による携帯利用者5万人の調査によれば,飛行中の携帯電話利用に賛成した回答者はわずか11%に過ぎなかったが,64%は携帯メール等の静かな活動には許可の姿勢を見せた。音声通信が増えれば,航空会社は雑音消去装置などの導入を迫られるだろう。
健康維持のための日記・ジャーナルがウェブに進出(米)
527-229930 Wall Str.J. 2005-8-2 p.D5表
 日記がライフスタイル変更のための主流のツールとなり,インターネットに急速に移転している。例えば,Myselfhelp.comは世界31カ国から1000人の加盟があり,月15ドルの料金で,鬱病やストレスなどの専門的なセラピーを補強するオンライン・ジャーナル等を提供している。Tell-me-about-it.comは,パスワードで保護された日記や職場の人間関係などの発散場所を設けており,様々なオンライン・コースを提供している。推進者は,こうした日記が鬱病などの治療に効果があるとしているが,懐疑家たちは,こうしたジャーナルの利用には限界があり,マイナス面もあるとしている。
欧州で急速に普及するブロードバンドが人々の生活を変える
527-229931 *Bsns.Wk. 2005-8-8/15 p.20〜21図写
 西欧では2004年に新たに1400万人以上がブロードバンドに加入,総数は米国を上回る4400万人となった。既に約25%の世帯が接続し,マスマーケットを形成していると言え,通信はもちろんネット経済の起爆剤となろう。ブロードバンドは消費者の行動を変え,通信の方法を変える。オンライン写真プリント・サービス欧州最大手Photoways社では,既に顧客の98%が高速接続し,2004年は収入3倍増,オンライン音楽サイトも売上げ記録を更新中。2008年にはIP電話などのネット電話の市場は42億ドルと予測される。ビデオ・ブログ,podcastなど,市場は分裂的に発展し,数年以内に娯楽や通信ビジネスは劇的に変化しうる。
コスト削減に社内用ウェブサイトを設営する企業が増加(英)
527-229932 Fin.Times 2005-8-30 p.7写
 顧客向けサイト構築には巨額を使う企業だが,社員用のイントラネットは平均50万ポンド以下しか支出していなかった。しかし上手に設計すれば年100万ポンドが節約できるイントラネットは,従業員向けの社内誌の延長から経営ツールに転換し始めている。例えばBBC放送ではタクシー予約をすべてイントラネットで処理することで,管理コストを予約ごとに2.5ポンド削減し,年間で170万ポンドの節減に繋がった。イントラネットを導入する企業のために,Intranet Benchmarking Forumには大企業31社が加盟し,年会費1万1000ポンドを支払って自社イントラネットのテストと評価を受けている。
英国で始まるネット上での一般人同士のP2P融資
527-229933 Business 2.0 2005-8 p.22
 英国最大のオンライン銀行Eggの立ち上げに一役買ったRchard Duvall氏が新たに始めたZopaは,eBayのようなウェブサイトで,普通の一般人が他の一般人に融資をするというシステムである。このサービスは,信用調査をパスした18歳以上の英国人なら誰でも利用でき,貸し手は信用確かな借り手とリスクのある借り手から選択できる。債務不履行の影響を軽減するため,利用者の資金は最低50人の顧客に振り分けられる。3月の開始以来,2万3400人が加入している。Duvall氏は米国進出も視野に入れているというが,連邦及び各州の規制が障害となるだろう。
ブログを監視下に置く中国政府,ポータルもフィルタ・システムで自主規制
527-229934 *Bsns.Wk. 2005-8-8/15 p.16〜18表写
 中国のブログは現在300万件と見られるが,1億人のネット利用者,3億6000万人の携帯使用者数から考えれば,モバイル版も含め,間もなく爆発的な成長が見込まれる。だが中国では,宗教や政治問題など,性的表現などタブーが多く,フィルタ・システムで自主規制しているBokee(博客網),Blogcn(中国博客網)の2大ブログ・ポータル以外でのブログ開設には,6月から政府への本名登録が義務付けられた。MSNも特定の単語をブロックするセンサを設けている。このためブログの新鮮さが消えた時には読者の維持は難しく,2006年にも成長は鈍化するとの見方もある。
検索エンジンのトップGoogleはその先端性を維持できるか(米)
527-229935 *Fast Company 2005-8 p.62〜68図写
 晩春にGoogle社の株価は1株300ドルに達し,創業7年の同社の時価総額は8000億ドルとなり,Yahoo,Amazon.com,eBay,Oracleを超えた。しかし同社の成功譚は,SGI社など過去のシリコンバレーの急成長消滅企業を思い出させるところがあり,懸念もある。同社は社員が働きやすい環境を提供し,ストック・オプションに頼らない報酬体系を導入しているが,YahooやMSNの追い上げをかわすには不充分だろう。長期的に見ると,Googleは次なる技術的躍進が必要で,そのためには才能ある若者に投資したり,有望な技術を持つ小企業を買収したりすべきだろう。
Googleは利用者のコンピュータ上の「親友」になりたがっている(米)
527-229936 Wall Str.J. 2005-8-25 p.B1
 大部分のネット利用者にとり,Googleの名前はオンライン検索と同義であるが,同社はそれ以上を望み,同社のソフトをデスクトップに固定させようと苦心している。インスタント・メッセージングのGoogle Talkと情報管理ユーティリティのGoogle Desktop 2はその努力の一環である。両ソフトとも使用感に優れるが,重要なのは,両製品とも拡大の余地が充分にあり,不可欠なものになることを意図して制作されている点だ。同社にとって,検索エンジン以外の分野への進出は初めてではないが,両ソフトはマイクロソフト,Yahoo,America Onlineとの競争をさらに激化させることになるだろう。
携帯電話やOSなど周辺分野にタコのように手を広げるGoogleに業界が警戒心(米)
527-229937 *Bsns.Wk. 2005-9-5 p.34〜35写
 検索エンジン最大手のGoogleは最近,携帯電話ソフトの新興企業Android社の買収,第2次公募による40億ドルの調達,インスタント・メッセージングとネット電話への参入を立て続けに発表し,その意図について業界に疑心暗鬼を生んだ。同社がネットを中核とする総合企業に向うとすれば,Yahoo!などに加えて,次の4つの対立軸が生まれる。(1)地方のWi-Fi市場の参入や電力線によるブロードバンド接続で,Verizon社など通信会社と衝突,(2)携帯電話による検索に向けて,機器/ソフト関連の企業買収を進めており,モトローラ社などと衝突,(3)ブラウザやOS関連の人材を拡充しており,マイクロソフト社との対立が激化,(4)電子商取引に関心は薄いが,オンライン支払いには参入する計画で,eBay系のPayPalと衝突する。
株式を追加公開するGoogle,注目される調達資金の使い道(米)
527-229938 *Fin.Times 2005-8-20/21 p.8図
 上場から1年を迎えた検索エンジンのGoogleが,新たに1415万9265株の追加公開を発表した。半端な数字は,数学好きの経営者からの謎かけである(頭に3を加えると円周率になる)。だがさらに大きな謎は,この公開で調達する40億ドルの使途であろう。アナリストは,同社が企業買収や全くの異分野への進出などによる成長を考えている観ている。同社はすでに,現金と売却可能な有価証券で30億ドルを保有し,純益を7億1200万ドル上げている。これに40億ドルが加わると大掛かりな行動が可能となる。同社収入の40%に留まる海外での買収が最も可能性があるが,競争優位のない市場で買収を仕掛けるという観測もある。
Googleの40億ドル調達資金の使途に謎深まる(米)
527-229939 *Wall Str.J. 2005-8-19 p.A1,A10
 Google社は,同社の株式1415万9265株を40億ドル以上で売りに出す計画を明らかにしたが,その調達資金の使途を巡って,ウォール街では様々な憶測が飛び交っている。この売出しに対する驚きは,ウォール街がいかに同社の将来事業の方向性を予期しあぐねているかを如実に示している。Googleが特定の計画を持たずに株式を売りに出したということも考えられなくはないが,急拡大するアジア市場での買収か,ワイヤレス・インターネット・アクセスもしくはVOIP提供のための買収資金にするのではないかとの観測が強まっている。
憶測を呼んだGoogleの新株発行の理由は買い手があるから(米)
527-229940 *Wall Str.J. 2005-8-24 p.A2
 Googleが40億ドルで新株を発行し,資金調達を決めたことは謎だと受け止められた。同社はすでに30億ドルの現金を保有しているため,ワイヤレス・ネットワークの建設やインターネット電話への進出など様々な憶測が流れた。しかし企業は自社株が過小評価されていると思ったときに買い戻し,過大評価されていると思ったときに売却するものだ。過去数カ月間Googleのトップは,30億ドル近くの保有株を売却しており,報酬をストック・オプション頼りからシフトさせている。Googleの検索は現代生活の中心となっているが,このような高成長が持続するはずはなく,何より創業者たちがそれを理解している。
Googleが利用者がカスタマイズ可能な新プログラムを発表(米)
527-229941 Wall Str.J. 2005-8-22 p.B4図
 Google社は,ライバルのマイクロソフト,Yahoo両社に対して優位に立つべく,Sidebarを無料でリリースし,顧客がカスタマイズされた情報を得られるようにした。これはYahooのMyYahooサービスによく似ているが,Sidebarにはテキストエディタが付属し,文書を作成して保存することができることから,マイクロソフト社のOffice攻撃の始点となると見られる。スケジュール管理機能がマイクロソフト社のOutlookとバッティングする点から見ても,GoogleがOfficeに対抗する製品を提供して,マイクロソフト社との戦いさらに広げるのではとの観測が流れている。
Googleの新事業進出で既存電話会社との競合激化は必至(米)
527-229942 *Fin.Times 2005-8-24 p.1,14表図
 インターネット検索エンジン大手Googleが,Google Talkと呼ぶインターネット・メッセージとインターネット電話サービス事業に進出すれば,既存電話会社との競合激化は必至である。またGoogleのオープン・プラットフォーム採用は,クローズド・インターネット・メッセージ・ネットワークを展開しているYahoo,AOL,マイクロソフト社のMSNなど既存大手に対する大きな挑戦ともなる。Googleは,40億ドルの資金調達を先週発表しており,ネット電話で先発しているSkype等を買収してこの事業拡大に動き出すものと考えられている。
Googleがインスタント・メッセージに進出して業容をさらに多様化(米)
527-229943 Wall Str.J. 2005-8-24 p.B3図
 Googleは,パソコンを通じてテキストや音声で交信できるインスタント・メッセージング・サービスGoogle Talkを開始し,America OnlineやYahoo,マイクロソフト社などと競争する。Googleは,今週初めにカスタマイズ・サービスのSidebarを発表するなど,従来の検索サービスから業務を拡大している。インスタント・テキスト・メッセージング市場は,America Onlineが4160万のアクティブ・ユーザーを擁して独走しており,Yahooの競合サービスが1910万,MSNが1410万の利用者がいる。Google Talkはオープンな標準に従っているため,従来のサービスより有利と同社は見ている。
ネットで3Dマップ検索サービスを提供するGoogle,マイクロソフト両社
527-229944 *Fortune 2005-9-5 p.82〜83写
 Google,マイクロソフト両社は,個別に3Dマップ検索サービスをインターネットで提供する。前者のGoogle Earth,後者のMSN Virtual Earthはともに無料テスト・バージョンが公開されており,年内に本サービスが開始される予定。このサービスは,3Dマッピング技術,衛星・航空写真,検索エンジン,データベースなどを融合させたもので,住所を入力すればその場所の3Dマップがスクリーン上に拡大表示されるという仕組み。まだ試用段階ということで,欠点をあげつらうのは不公平ではあるが,一般的に見てGoogle Earthの方が豊富な機能を提供しているようだ。
Googleのマイクロソフト社逆提訴に見る検索エンジン業界の競争激化
527-229945 Wall Str.J. 2005-7-28 p.B4
 Googleは,マイクロソフト社の副社長Kai-Fu Lee氏を中国部門の社長に迎えようとして,マイクロソフト社に雇用契約違反で提訴された問題で,脅し作戦を使用したとしてマイクロソフト社を逆提訴した。この法的な小競り合いは,ウェブ検索サービスを巡る争いがいかに白熱化しているかを示している。6月に米国で行われたウェブ検索の37%はGoogleのサイトで実行されたが,マイクロソフトは16%に過ぎなかった。競争は検索技術に秀でたエンジニアの獲得競争にも及んでおり,Googleは今年初めにマイクロソフト社のWindows OSの著名な設計者を採用している。
Yahooとマイクロソフト社がオンライン広告への集中を高める(米)
527-229946 Wall Str.J. 2005-8-3 p.B5
 Yahooとマイクロソフト社は,Googleの強さの中核である検索語に関連したテキスト広告の販売に対して攻撃を強化する。Yahooは,Yahoo Publisher Networkを通じて広告を表示するサイト数を拡大する。一方マイクロソフト社は,MSNの検索結果に広告を表示するMSN Keywordsの米国での試験を始める。すでにフランス,シンガポールでは試験運用されており,米国での試験運用開始は10月の予定。またInterActive社のAsk Jeevesも独自の広告仲介ネットワークの開始を発表している。オンライン広告は2005年に米国で前年の39億ドルから40%成長して54億ドルとなると見られている。
メディア巨大企業を目指すYahooのTerry Semel氏(米)
527-229947 *Fortune 2005-8-8 p.46〜53図写
 YahooのTerry Semel氏のビジネス目標は,同社を21世紀最初のメディア巨大企業にすることだ。同氏が2001年にCEOに就任した時,ドットコム・バブルの崩壊により会社の状態は悪かった。同氏はCOOのDan Rosenzweig氏とともに売上げの多様化を図った。検索結果広告やオンライン上での分類広告などを導入し,同社の収益を年30億ドルにまで引上げた。これまでは大企業の広告主が少なかったが,最近になってクライスラー社のJulie Roehm氏のような戦略意思決定者が,オンライン広告の可能性を見直し始めている。
Yahooが検索ページ数でGoogleを上回ったと発表
527-229948 Wall Str.J. 2005-8-15 p.B4図
 Yahooはもユーザの検索可能ページ数が190億ページを上回ったとして,Googleの82億ページに大きく水を空けたと発表したが,Googleはその数字に対して公に疑問を表明した。専門家によれば,検索可能ページ数が10億ぺージ以上になれば,ページ数よりも,適切な検索結果を表示する方が大事であると言うことだが,今回の騒動は,検索エンジン企業が自社の優越性を示そうかといかに躍起になっているかを明らかにしている。しかしウェブサイトSearch Engine Watchの作成者によれば,このような騒動は時間とエネルギーの無駄だという。
Yahoo(米)はAlibabaとの10億ドルの提携で中国に本格進出へ
527-229949 *Fin.Times 2005-8-12 p.1,9図写
 Yahooは本日,中国の阿里巴巴(Alibaba)と10億ドルの契約を結んだ。これによりYahooは,中国での事業展開をAlibabaに委ねることになる。この提携で,中国でのビジネス展開に苦戦していたYahooの戦略は大きく変化する。とはいえこれは合弁ではなく,Alibaba社がすべて経営の舵取りを行っていくとことになると,同社の馬雲(Jack Ma)は主張している。ただし中国のインターネットは政治的な規制が今でも厳しい。
Alibaba買収で中国進出は果たしたがアイデンティティ危機に陥るYahoo!(米)
527-229950 *Economist 2005-8-13 p.49〜50図
 Yahoo!は最近,中国のAlibaba.comと10億ドルの投資契約を結び,成長する中国市場に足かがりを得た。だが基本的に消費者向けサイトのYahoo!が,国内卸売と海外小売を結ぶ企業向けサイトAlibabaを買収したことで,“一貫性のない何でも屋”という世評をさらに裏付けることになった。これに対してYahoo!は,25カ国で3億4500万のユーザーを擁し,直近四半期に51%増収,70%増益という好業績をバックに,戦略の一貫性を主張している。だが商品の卓越性で定評のあるGoogleに対して,Yahoo!は総花的だが,どの分野でもトップになれない。旧メディア型の人材を多用しているため,いわばニューメディア世界にオールドメディア方式で臨んでいることも問題。
強力なライバルの出現でeBay(米)の中国での挑戦がますます困難に
527-229951 *Wall Str.J. 2005-8-12 p.A1,A6図
 中国のインターネット市場は急成長しているが,扱いにくく未成熟な市場でもある。それだけでeBayの気力が失せるというものだが,このたびライバルの阿里巴巴(Alibaba.com)がYahoo(米)から株式の40%と引替えに10億ドルの資金を得ることになり,状況はますます悪化した。eBayは33カ国で人気を博し,オークション収入の半分は米国外から得ている。しかし中国はネット利用者1億人を誇る世界第2位のネット大国とはいえ,世帯普及率は6%と低く,ネット・カフェを利用する人が多い。利用者も他の進出国ほど裕福ではなく,見知らぬ他人からネットで購入したがらない傾向がある。
今でも新規市場開拓を続けるAmazonのJeff Bezos氏(米)
527-229952 *Fin.Times 05-7-30/31 p.7図
 直近の四半期のAmazon.comの収入は17億5000万ドルに達した。同社のJeff Bezos氏は,今でも扱う商品部門を拡大し続けている。米国では25以上のカテゴリーがあり,ダイヤモンドやランニング用シューズなども扱っている。またドイツではDVDのレンタルを開始した。しかし同社の物販市場拡大の動きに対し,ウォール街は利益率が下ることを懸念している。7月初めには同社の株価は年初に比べ3分の1超も下落した。5年前に同社を去ったJoseph Galli氏の穴を埋める人材が必要という声もある。
Amazonが短編小説を一遍49セントでデジタル販売(米)
527-229953 Wall Str.J. 2005-8-22 p.B1,B3
 Amazon.comは,短編小説をデジタル形式で一遍49セントで販売しはじめた。Amazonのみで読めるこの短編小説の販売は,始まったばかりの同社のデジタルコンテンツ戦略の一環で,オリジナルなマテリアルが新しい顧客を招き入れるという前提に立っている。Danielle SteelやTerry Brooksなどの人気作家59人の2000〜1万語の小説を購入した顧客は,ウェブ上で閲覧できるほか,ダウンロードしてプリントアウトも可能。過去1年間,同社はオリジナルを中心にデジタル・コンテンツを拡充する戦略を採ってきたが,今回は初めて有料のマテリアルを提示したことになる。
ソーシャル・ネットワーキングで一番人気となるMySpace(米)
527-229954 Wall Str.J. 2005-8-22 p.B1
 MySpaceは,今最も人気のあるソーシャル・ネットワーキング・サイト(SNS)で,News社(豪)が親会社を5億8000万ドルで買収した。利用者が自分のページを作ることができ,実社会のように友人関係を結んで繋がることができる。この分野では,Yahoo,Google,eBay,Amazonのように毎年成長する強いブランドがあるわけではなく,人気の浮き沈みが激しい。2003年に人気があった草分けのFreindsterは人気が落ち,TheFacebookやMySpaceが人気を集めている。MySpaceはミュージシャンを集め,ブログ・ブームに乗ったと言えるが,成功の要因は技術よりも予期できない摂動のようなものだろう。
開設わずか10カ月,毎朝3分間のRocketboomがビデオブログの旗手に(米)
527-229955 *Bsns.Wk. 2005-9-5 p.68〜69写
 元ミュージシャンのAndrew Michael Baronと女優のAmanda Congdonが,市販のビデオカメラを使って毎朝9時から3分間流しているRocketboomビデオブログが人気を集めている。まだ開設10カ月だが,過去6週間のダウンロードは5万件に達しており,早晩20万件に増える勢いで,これはちょっとしたケーブルTV番組に匹敵する。2人のユーモアに富んだユニークな報道やショーが人気を呼んだ結果だが,これが揺籃期のビデオブログのビジネスモデルになるかもしれない。秋からは月額3.5ドルの有料ブログも計画している。
ハッカーに対価を支給して脆弱性情報の合法的収集を図るセキュリティ会社(米)
527-229956 *Bsns.Wk. 2005-8-22/29 p.20〜23表写
 企業/個人情報の不法入手による組織犯罪が広がり,ハッキングについても,Bitと名乗るロシア人ハッカーが情報取引の地下サイトを発足させるまでになっている。このためセキュリティ・システムのTippingPoint社は,闇市場に流れる恐れのある脆弱性の存在を知らせてくれたハッカーに謝礼金(貢献度に応じ最大2万ドル)を支払う“Zero Day Initiative”と呼ぶ仕組みを作り,セキュリティ強化に繋げる。従来ハッカーを唾棄してきたマイクロソフト社も,現在は姿勢を一変,取込み策に転じており,今年3月の同社主催ハッカー会議Blue Hat Summitにはトップ級技術幹部も参加し,交流を図っている。
オンライン証券トレーディング業界に大きな変化(米)
527-229957 *Wall Str.J. 2005-8-9 p.D1,D2表
 E*Trade FinancialがBank of Montreal(加)のHarrisdirect部門を7億ドルで買収し,米国のネット証券会社はE*Trade,Charles Schwab,Fidelity Investment,Ameritrade Holding,Scottradeの大手5社に絞られることになった。E*Tradeは今回の買収により,顧客口座数400万,1日の取引13万件で,顧客総資産1300億ドルを抱えることになる。E*Tradeは,ネット証券の顧客が手数料の安さではなく,どれくらい広い範囲のサービスと製品を提供できるかに関心を絞っていると見ている。大手5社の顧客口座の総資産は98年の6170億ドルから1兆3000億ドルに増加している。
地位確立の好機に恵まれたネット電話のSkype(ルクセンブルグ)が買収の標的に
527-229958 Fin.Times 2005-8-25 p.18
 2年間に5100万件のユーザーを獲得したインターネット電話のフリーソフト会社Skype社(本社所在地はルクセンブルグだが,実質的には英国で運営)は,カリスマ的な創業者たちが競争力となり,VoIP市場で強力なブランドを構築することになりそうだ。News社(豪)が30億ドルで同社買収の意向があるとの風説が流れ,このSkypeの市場価値の大きさが改めて注目された。同社のソフトは,225カ国で1億5000万回以上ダウンロードされており,常時300万人がSkypeで交信していると推算されている。
ブラウザ有料化のためにワイヤレス機器市場に参入するOpera社(ノルウェー)
527-229959 *Business 2.0 2005-8 p.96〜98図写
 Opera Software社のブラウザは,発表から1億コピー以上が行き渡り,かなりの数の顧客が有料サービスを利用している。その秘訣は,2002年からパソコン以外の携帯電話やセットトップ・ボックス用のブラウザを販売し始めたことにあり,モバイル・コンピューティングの爆発的増加とともに,2004年の収入は2820万ドルと倍以上になり,収益は940万ドルと40倍になった。同社の共同創立者でCEOのJon von Tetzchner氏は同誌とのインタビューの中で,マイクロソフト社のブラウザとOSの統合策は誤りで,現在同社はその誤りに苛まれていると語った。
カード決済未整備の中国を標的にする内外のオンライン支払い会社
527-229960 Wall Str.J. 2005-8-11 p.B4図
 中国のインターネット市場は注目の的とはいえ,オンラインでの支払いが困難なため,ネット商取引はまだ未成熟である。クレジットカードの所有者は希少であり,オンライン支払いサービスがほとんどなかったからだ。しかし56カ国でPayPalサービスを提供しているeBay(米)が現地の網易(NetEase.com)やTom Onlineと組んで進出を果たしており,その状況も変わりそうだ。地元企業でも99快線(99Bill)が今年初めからオンライン支払いシステムを立ち上げており,阿里巴巴(Alibaba.comのAliPayも380万の登録ユーザーを集めているという。
Yahoo(米)の中国進出のガイド役となるAlibabaのJack Ma氏
527-229961 *Wall Str.J. 2005-8-12 p.B1,B3図
 阿里巴巴(Alibaba.com)の創始者馬雲(Jack Ma)は,英語の教師から中国のインターネットのアイコンとなった。Yahoo(米)から株式40%と交換に10億ドルの資金を得た同氏は,今回のYahooとの提携により,Alibabaのオークション・サイトとYahooの検索・通信サービスを組合せて,中国のネット業界の全主要部門で圧倒的な存在感を確立することになるだろう。馬氏のこれまでの最大の敵はeBayだが,後発のAlibabaのオークション・サイトTaoBao.comの方が手数料無料を活かしてシェアを奪っている。2004年のAlibabaの売上げは4600万ドルという。
AlibabaのJack Ma氏はITノウハウに精通していたわけではない(中)
527-229962 Fin.Times 2005-8-13/14 p.8写
 多くのIT起業家にとって,成功のカギはウェブに精通していることだが,中国最大のeコマース・ウェブサイト阿里巴巴(Alibaba)の創業者で現CEOの馬雲(Jack Ma)は,もともとコンピュータに詳しくなかった。同氏は,1999年に杭州で同社を創業した際も,企業顧客向けのサービスに重点を置くなど,チャンスを抜け目なくつかんできた。会社を自分の支配下に置きたい同氏は,長い間IPOを拒否している。利益をあげることについての同氏の哲学「偉大な企業は金を稼げるが,金を稼げるだけの企業は偉大ではない」は,投資家を喜ばせるものではないだろう。
BaiduのIPO成功を契機に中国ネット企業は売却ではなくIPOを選択へ
527-229963 Bsns.Wk. 2005-8-22/29 p.23〜24表写
 中国の検索エンジン会社Baidu.comの米NASDAQ上場は,初日終値90ドル(時価総額30億ドル)と最高のデビューとなった。これを契機に,中国のネット企業の間に売却よりIPOの方が有利との見方が出始めており,最近盛り上っていたM&Aの波(例えばYahoo!は2004年に1億2000万ドルでBeijing3721Techology社の支配権を獲得した他,近く10億ドルで電子商取引会社Aribaba.comの1/3取得見込み)は沈静化する可能性がある。ただBaiduのPERは1800倍(Google,Yahoo!は70倍程度)と異常に高い。一方2004年に株式公開した中国ハイテク10社のうち7社の株価は,現在公開時価格を下回っている。
中国の検索エンジンBaidu.comに立ちはだかる規制の壁
527-229964 Wall Str.J. 2005-8-9 p.B7図
 中国の百度(Baidu.com)の上場は熱狂的に迎えられたが,その裏で,Google(米)並みの野心を持って運営される同社の前には中国政府の規制が立ちはだかる。同社は,競争の激化,政府の重い規制の可能性に加え,同社のコンテンツそのものの適法性が問題になっている。GoogleはBaiduの株式2.6%を保有しているだけでなく,中国への進出を進めている。中国のネット企業は小さなパイを巡って競争しており,2004年の検索広告市場は1億4800ドルに過ぎない。広告業界にはブームが到来しているものの,大手はSinaやSohu.comでのキャンペーンに資金をつぎ込んでいる状態だ。
国内旅行ブームに乗って成長が期待される中国のネット旅行代理店
527-229965 *Fin.Times 2005-8-17 p.15図写
 オンライン競売のAlibaba.com(阿里巴巴)とYahoo(米)の提携,検索エンジンBaidu.com(百度)の米国での上場など,中国のネット企業の動きが活発になっているが,次に注目される分野としてネット旅行業が挙げられる。中国では国内旅行ブームが起こっており,2004年の旅行収入は4711億元へと37%増加した。これに伴い,統合的旅行サービスへの需要も高まっている。業界リーダーのCtrip.comは120万人の登録ユーザーを有しており,2005年第2四半期の純益は80%増となった。
旅行検索エンジンQunarが新手のビジネスモデルで大手に挑戦(中)
527-229966 *Fin.Times 2005-8-31 p.8写
 旅行検索ウェブサイトを開設するQunarは,香港,シンガポール,フィリピンで旅行用検索エンジンをテストし始めた。中国でのニューリッチ族の旅行熱とインターネット熱を背景に,同社は米Nasdaqに上場しているCtrip.comやeLongに対抗して,メタ検索による旅行ウェブサイトのリスティングだけではなく,使い勝手の好いサイトで価格や可用性の詳細情報まで提供するビジネスモデルを進める。年末までには日本,韓国,インドでも展開する計画だ。