製造業の足元が崩壊する危険性を見据えて

 日本の景気は、依然、回復の足取りを確かなものにできていない。GDPは、99暦年の第3、第4・四半期と2期連続のマイナス成長を記録している。00暦年第1・四半期の結果次第だが、国際公約化した年度0.6%の成長率達成が大いに危うくなっているといえよう。直接の原因は、年末のボーナス・カットにみられるように所得環境が悪化し、最大の需要項目である個人消費が冷え込みを続けていることにある。しかし、政府の月例経済報告が述べているように、明るい兆しがでてきているのも確かだろう。設備投資がそれであり、2期連続でプラスになっている。設備投資が上向きを続ければ、いずれ雇用者所得の増大や雇用増に繋がり、所得環境の好転から個人消費も本格回復し、景気回復の足取りはカ強いものになるはずだ。

設備投資は回復しているが・・
 ところで、プラスに転じた設備投資を支えているのは、製造業であり非製造業はまだ水面下にある。その製造業における設備投資を牽引しているのは、携帯電話、テレビゲーム、パソコン、インターネットなどのIT(情報通信技術)産業だ。そこから、半導体や金型、さらに工作機械といった関連部門へと設備投資が急速に広がっている。例えば携帯電話をみると、携帯電話の駆体用の金型需要が工作機械需要を誘発し、さらに品不足のフラッシュメモリやコンデンサでも増産投資が起きるという具合になっている。
 このため、工場の新増設も目に付くようになってきた。だが、ITという若いリーディングセクターが、広がりを大きくしているとはいえ、どこまで、機械や建物への投資を引き出すことができるか。建設投資と繋がりの深い鉄鋼、セメントといった伝統的な基幹産業を潤す力には、まだなっていないようだ。

何故、投資は停滞しているのか?
 設備投資がどうなるのかという問題は、マクロの日本経済にとってのみならず、機械工業に属する企業にとっても、死活に関わる問題だろう。増産であるにせよ、工場の新設であるにせよ、ビルの建設であるにせよ、諸産業で投資が起きれば、資本財としての(もちろん、消費財としても)機械工業製品の受注、出荷は拡大する。そこで、逆に、工作機械や建設機械、重電といった資本財需要の動きから、設備投資の動きを観察し、原因を考察するするというアプローチも考えてみることができるだろう。例えば、工作機械。政策投資銀行(旧・開銀)の調査では、自動車産業における工作機械の設備年齢は日米逆転している可能性が大きい。設備年齢の逆転は生産性の逆転を意味する可能性も大きいのだが、自動車に限らず、何故、工作機械への投資が停滞しているのだろうか?携帯電話の金型需要は明るい材料ではあるが、もっと需要に広がりがあっても良いように思われる。

中小企業の財務悪化が原因
 一般には、自動車など需要産業における需給ギャップが大きく、その調整のために投資を抑制しているという説明がなされる。しかし、調整しているだけでは、日進月歩の技術進歩に取り残され、競争カを喪失するはずだ。老朽化した低生産性設備の廃棄など設備調整を行いながら更新投資も進めるのが常態ではないだろうか?何か、更新投資したくてもできない事情があるのではないか?金融などに間題はないのだろうか?そこで、下請け中小企業の財務状況をみたところ、債務償還年数(未返済の借入額を何年で返せるか)が設備の残存耐用年数(何年使えるか)を、大きく上回っていることが分かった。これでは、ゼロ金利といえども借入で投資はできそうにない。こうした中小企業に対する対策を検討しないと、日本の製造業の足元が崩れてしまう恐れなしとしない。じっくり急いで、対策を考えてみたい。






海外の雑誌や新聞もインターネットで見ることができます

 海外の主な出版社はほとんどウェブサイトを開設しており、発行している雑誌や新聞の記事の読むことができます。
 その公開の形式は、図表や写真を含めて、全ての記事の全文が無料で閲覧できるものから、一部の記事のみ、索引・要約のみ、有料のもなど様々です。雑誌・新聞を定期構読している読者は、登録すれば全部読めることが多いようです。
 そこで当研究所発行の「KSK SCANNER−産業企業海外情報」の対象紙誌について、無料で閲覧できるものを中心にご紹介します。一度お試し下さい。
 ここでは紹介していませんが、Time、Newsweek、Forbesなどの著名誌も、もちろんウェブサイトを持っています。

AED (隔週刊・英語・英国)  ウェブサイトなし
American Machinist (月刊・英語・米国) http://www.americanmachinist.com/ 一部の記事を公開
Asian Business (月刊・英語・香港) http://web3.asia1.com.sg/ ほぼ全部の記事をテキスト体で公開
(更新は遅い、記事はトピック毎に分かれている)
Automotive Manufacturing & Production
(月刊・英語・米国)
http://www.automfg.com/ 半分弱の記事を公開
Business Marketing (月刊・英語・米国) http://businessmarketing.com/ 最新号の記事のみ公開
Business Week (週刊・英語・米国) http://www.businessweek.com/ 約半分の記事を公開(購読者は全部)
Capital (月刊・ドイツ語・ドイツ) http://www.capital.de/ 一部の記事を公開(要約等もあり)
Economist (週刊・英語・英国) http://www.economist.com/ 一割程度の記事を公聞(購読者は全部)
Electrical World (月刊・英語・米国) http://www.electricalworld.com/ 見出しの一部を公開
Electronic Business (月刊・英語・米国) http://www.eb-mag.com/ 図表を含めて全ての記事を公開
Electronic Business Asia (月刊・英語・香港) http://www.eb-asia.com/ 図表を合めて全部の記事を公開
Electronic News (週刊・英語・米国) http://www.electronicnews.com/ 短信と図表の一部以外全て公開
Electronic Weekly (週刊・英語・英国) http://www.electronicsweekly.co.uk/ 主要記事,トップニュース,技術特集等を公開
Engineer (週刊・英語・英国) http://www.theengineer.co.uk/ 前半のNewsの記事全て
Europe (日刊・英語・ルクセンブルグ) http://www.agenceurope.com/ 最新号の目次のみ公開(有料のオンライン版あり)
Far Eastern Economic Review (週刊・英語・香港) http://www.feer.com/ 4分の1程度の記事を公開(他に要約あり、購読者は全部)
Financial Times (日刊・英語・英国) http://www.ft.com/ ほぼ全部の記事を公開(閲覧しにくく重い)
Fortne (隔週刊・英語・米国) http://www.pathfinder.com/fortune/ 半分程度の記事を公開(購読者は全部)
Handelsblatt (ドイツ語・日刊・ドイツ) http://www.handelsblatt.de/ おそらくほぼ全部公開(特集類は登録が必要)
Harvard Business Review (隔月刊・英語・米国) http://www.hbsp.harvard.edu/products/hbr/ 目次と内容抄録のみ公開(購読者は全文)
Management Today (月刊・英語・英国) http://www.managementtoday.haynet.com/ 最新号の目次のみ(購読者は閲覧可能)
MEED (週刊・英語・英国) http://www.meed.com/ 主要記事を公開(更新は遅い)
Motor Ship (月刊・英語・英国) http://www.motorship.com/ 記事は、ほぼ全て公開されているが、
全文が載っているわけではない
Le Mond (日刊・フランス語・フランス) http://www.lemonde.fr/ ほぼ全ての記事を公開
Nucleonics Week (週刊・英語・米国) http://www.mhenergy.com/ 加入者のみ閲覧可能
New Technology Week http://www.kingpublishing.com/ 記事公開無し
Research-Technoloy Management http://www.iriinc.org/RTM.htm 料金が書いてあるが閲覧可能(理由不明)
Telephony (週刊・英語・米国) http://www.internettelephony.com/ 一部の記事を公開(購読者は全部)
US News & World Report (週刊・英語・米国) http://www.usnews.com/usnews/home.htm ほとんど全ての記事を公開
Usine Nouvelle (週刊・フランス語・フランス) http://www.usinenouvelle.com/ 最新号の目次と抄録を公開
24 Ore (日刊・イタリア語・イタリア) http://www.ilsole24ore.it/ ほぼ全ての記事を公開
Wall Street Journal (日刊・英語・米国) http://www.interactive.wsj.com/home.html 有料で公開
Wirtschafrswoche (週刊・ドイツ語・ドイツ) http://www.wiwo.de/ 不明(無さそう)
毎日経済新聞 (日刊・朝鮮語・韓国) http://www.mk.co.kr/ どの程度の記事が公開されているか不明






開催状況

 平成11年度の研究報告会を標記のとおり開催いたします。
 参加ご希望の方は、企業・団体名、所属、住所、氏名、電話番号、希望テーマ名をご記入の上、企画管理室まで郵送またはFAX(03−3434−3696)にてお申し込み下さい。皆様のご参加をお待ち申し上げております。

<機械情報産業研究報告会>
日  時 : 5月24日(水) 13:00〜17:00
会  場 : 機械振興会館 地下2階 大ホール
テーマ : 「これからの機械産業 −オレンジ色の時代の下で」

  13:00〜13:10 開会の挨拶
					(財)機械振興協会 副会長
					経済研究所 所長             小林  惇
  13:10〜13:30 「これからの機械産業 −オレンジ色の時代の下で」
					当研究所 次長兼調査研究部長       柴田紘一郎
  13:30〜13:50 「機械企業における環境保全の取り組みと課題」
					当研究所 調査研究部 研究主幹      服部 保孝
  13:50〜14:10 「中堅・中企業と環境ビジネス −経営戦略の課題」
					当研究所 調査研究部 研究員       山田 敏之
  14:10〜14:30 「製品開発に関わるサプライヤの情報化 −金型産業を中心に」
					当研究所 調査研究部 研究主幹      福井 泰子
  14:30〜14:50 「資本財産業における需給ギャップ問題と資本財への投資活性化策のあり方について」
					当研究所 調査研究部 研究主幹      荒岡 拓弥
  15:10〜15:30 「半導体産業の新たなビジネスモデル −システムLSIビジネス成立の要件」
					当研究所 調査研究部 研究副主幹     井上 弘基
  15:30〜15:50 「中小製造業における産学官連携の実態と課題 −モノづくりの高度化に向けて」
					当研究所 調査研究部 研究副主幹     北嶋  守
  15:50〜16:10 「生活者主体によるモノづくりの変化 −生活密着型機器の開発から再生まで」
					当研究所 調査研究部 研究員       渡邉 博子
  16:10〜16:30 「技能者の教育訓練経歴 −電機メーカーを中心に」
					当研究所 調査研究部 研究員       田口 和雄

<その他の催物>
 1月25日  第300回 STEP研究会 「日本産業の成長とイノベーション」
 2月28日  第301回 STEP研究会 「生産性を巡るいくつかの論点 −マクロ経済からの見方を中心として」
 3月15日  第302回 STEP研究会 「製造業とモノづくり −中小企業の経営革新と人材高度化」
 4月17日  第303回 STEP研究会 「消費者契約法について」