プロフィール

< 30年の歴史 >
 当部の成立は、 「戦後の産業政策の代表である “傾斜生産方式” の提唱者 “故・有澤広巳教授” (当所初代所長) の産業分析研究を継承したことに始まる」 といわれています。当時施行された、わが国の工業振興政策からほぼ30年、日本の工業化の進展とともに、当部では、機械関連産業に関するさまざまな調査研究を行ってまいりました。

< 平成7年度プロジェクト発進 >
 さて今年度のテーマは、 「新たな産業・企業環境の変化を踏まえた21世紀にむけての「モノづくり」 」 です。これを念頭におき “グローバル化”、 “技術”、 “市場”、 “人材”、 “競争カ” 等をキーワードに、内部の自主研究と約30ほどの外部諸機関との共同研究が計画され、そして実行されていきます。また、これまで各年度版として刊行してきた 「日本の機械工業」 も、もちろん継続します。機械情報産業の各業種について基礎的なデータや動向を取りまとめていくとともに、今回は共通のテーマとして 「 「超円高」 とその対応」 、近年の激しい為替変動に各業種がどのように対応しているかという調査も盛り込んでいくつもりです。当部では現在、柴田調査研究部長を筆頭に、各研究員が、自主研究と共同研究のなかから、2〜3のプロジェクトを担当。当然のことながら全員フル稼働の状態です。

< 研究テーマ及び担当者一覧 >
 今年度の具体的なブロジエクトと担当者を順にご紹介します。
	「日本の機械工業の動向分析」 −業態動向分析−      調査研究部全員
	海外生産比率の上昇と国内需給ギャップの分析研究       服部・渡邉
	技術の創造的革新と産業技術の基盤整傭における方向と課題   井上・渡邉
	人材の流動性と日本的雇用システムの展開と課題の研究     白井・松崎
	高コスト構造の実態と国内産業競争カについての調査      北嶋・白井
	企業の国際展開と経営・生産システムの実態調査        福井・服部

 またこれらは下図のような相関関係を持ちながら、互いにシゲキしあい、そして大きなテーマである 「わが国の 『モノづくり』 の展望」 ヘと遡及されていくのです。かなり広範囲の項目を網羅しているのではないかと自負しております。

図

 また共同研究テーマのなかで、当部主体のプロジェクトは次の通りです。
	21世紀の成長市場と下請け中小企業の役割に関する調査研究    北嶋・松崎
	映像情報産業における新たな分業・人材配置関係に関する調査研究  中尾・井上

 以上のようなテーマに沿って、各研究員は、“持てるカ” を十二分に発揮(?)しながら、来年3月の “セイカブツ” 完成にむけて、文献・ヒアリング・アンケート調査等々に寝食も忘れすべてをかけることと思われます。ご期待下さい。




組織が変わりました
 平成7年7月1日づけで、資料室は情報資料部になりました。これは資料室の業務が、従来の図書館中心から、データベースの構築・運用も含めた情報センターに向けて大きく変貌しつつあることを反映したものです。これまでの資料室の活動は、 1)「機械工業図書館」 の運営、及び 2)月刊抄録誌 「KSK SCANNER−産業企業海外情報」 の発行とそのデータベース化が柱となっていましたが平成6年度からこれに 3)「KSKライブラリー・データベース」 の構築と運用事業 (下記参照) が追加されましたので、これらを有機的に結びつける体制を整えようとするものです。

 「機械工業図書館」 は、機械産業の専門図書館として30年にわたって公開されており、毎年1万人近い方々のご利用をいただいております。今後とも、内外の統計類、新聞・雑誌、企業財務情報、さらにはCD−ROM (下記参照) など電子媒体資料も含めて、収集資料の充実とその提供サービスの高度化に図り、機械産業界における調査研究のための中核リサーチ・ライブラリーを目指します。

 「KSK SCANNER−産業企業海外情報」 は、機械産業を中心とする海外の産業・企業情報を海外文献抄訳の形で提供する月刊誌として、すでに40年近い歴史を持っており、さらに昭和60年度からはデータベ−ス化も図っております。これについては、今後とも内容の充実に努めるとともに、 「KSKライブラリー・データベース」 に塔載し、オンライン方式で利用者に提供する計画です。同時に月刊誌の発行も従来通り行います。

 この2つに 「KSKライブラリー・データベース」 が加わることにより、情報資料部は、図書における情報の収集・整理・保管/情報の加工/情報提供形態の多様化を、相乗的に結合させたいと考えています。さらに今後は情報の積極的な発進も進める計画です。


「KSKライブラリー・データベース」 の構築を始めました
 「機械工業図書館」 の所蔵する各種の資料をデータベース化し、オンラインその他の形で利用者に提供する構想は従来からありましたが、平成6年度からこの構想が具体化に向けて動き始めました。 「機械工業情報化整備事業」 として開始されたこの事業は、 「機械工業図書館」 が情報の収集と加工を担当し、データベース・システムの開発・設計は会館内の日本情報処理開発協会に委託する、いわゆるアウトソーシング方式で進めております。平成6年度については、子算的な制約から全体的な構想の一部に着手し、以下のデータベース・システムの開発を行いました。

1.KSK Statistics
 機械関係工業会が独自に作成している統計 (テキスト/イメージ・データ)
2.KSK Reports
 機械関係団体の作成する調査研究報告書 (テキスト・データ)
3.KSK SCANNER
 海外産業企業情報 (テキスト・データ)

 このうち特に1及び2については、機械関係諸団体にご協カをお願いしているもので、その貴重な調査・研究成果のうち、外部に公開可能な部分を共用化し、業界各位の利用に供することを意図したものです。システム開発の一部は平成7年度に持ち越され、また外部への公開までには至っておりませんが、情報提供団体の同意を得た上で早期の公開を目指しております。
 また今後上記3データベースだけでなく、 「機械工業図書館」 所蔵資料を逐次データベース化し、図書館閲覧室での端末機利用、あるいはオンラインで公開していく計画です。さらにこれと平行して平成6年度には経済研究所調査研究部を中心に高性能パソコンを十数台導入し、これをLANで接続して、情報装備を充実させました。


CD−ROMを導入しました
 大量の情報が蓄積でき、検索や計算が可能な情報媒体として、CD−ROMはアメリカでは多種多様なソフトが発行され、図書館でも普及が進んでいますが、 「機械工業図書館」 でも、平成6年度からCD−ROM資料の収集を本格化しました。CD−ROMは、ディスクの寿命が確認されていないことなど若干の欠点はありますが、資料の保管スペースが大幅節約、安全性など、多くのメリットがあります。またデジタル化された情報ですので、統計や企業財務情報では数値計算が可能です。
 平成6年度には下記のCD−ROMを導入しました。

  1. Business Periodicals on Disc (BPO)
     世界の主要なビジネス誌約1,000タイトルの英文抄録、うち約400は、写真、図表も含めたページ単位のイメージ情報が収められています。カラーを除いてほぼ原文と同じです (毎月更新)。

  2. New York Times on Disc
     アメリカの著名な新聞 New York Times の全文データベース (毎月更新)。

  3. Compact Disclosure SEC
     アメリカの証券取引委員会に提出される1万社以上の企業の事業内容および財務情報(四半期更新)。

  4. SEC on Line
     上記3と同様の情報ですが、出カ形式等が異なる(四半期更新)。

  5. UK Company Factfinder
     イギリス企業約20万社の事業内容および財務情報(四半期更新)。

  6. Moody’s Company Data
     著名な Moody’s の企業ダイレクトリーのCD−ROM版。アメリカ企業約1万社、アメリカ以外の国の企業約8,000社を収録(四半期更新)。

 これらのCD−ROMは近く来館者皆様にも公開する予定です。また機械工業図書館では、CD−ROMも含めて、今後も電子媒体資料を拡充を計画しています。






開催状況

<機械情報産業研究報告会>
 6月7日(水)、機械振興会館地下2階大ホールにて 「変革への挑戦」 と題した研究報告会が次のとおりの各テーマで行われ、200名を超える多数の方々に参加をいただきました。

  1) 「超円高と日本産業」
		(財)機械振興協会 副会長 経済研究所 所長     長瀬 要石
  2) 「成熟化経済下における企業革新の現状と課題
                   −日本的リストラとは何か?」
		当経済研究所 調査研究部 調査役           北嶋  守
  3) 「グローバリゼーションと技術基盤」
		当経済研究所 調査研究部 研究員           福井 泰子
  4) 「米国における産業技術政策の展開と産・官・学の連携
                      −半導体を中心として」
		当経済研究所 調査研究部 研究員           井上 弘基
  5) 「高度生産システムへの展開と人材問題」
		当経済研究所 調査研究部 研究員           白井 邦彦
  6) 「中小企業の新規創成 −国際化時代の中小企業育成戦略」
		福岡大学 商学部 助教授
		   (前当研究所調査研究部調査役)         居城 克治
  7) 「民間における技術の空洞化」
		(財)日本システム開発研究所 技術開発研究室 室長  大熊 謙治


<その他の催物>
 4月20日  第253回  STEP研究会  「最近の景気動向と中小企業の対応」
 5月10日  第54回   経済研究所運営委員会
 6月29日  第254回  STEP研究会  「ASEAN諸国における工業化人材の育成と日本の役割」


出版物紹介
 平成6年度版の報告書のうち、有料で頒布されているものです。

H6−1 成熟化経済下における機械産業活力に関する調査研究
H6−2 日本の機械工業
H6−3 機械産業のグローバリゼーションと技術基盤への影響
H6−4 アジア地域への生産シフトとその影響
H6−5 高度生産システムへの展開と人材育成
H6−6 中国の機械産業の現状
H6−7 中小企業創造と生産システムの国際展開
H6−8 地域における公共的映像利用施設の動向
H6−9 中国の機械周辺基盤生産能力

 ご希望の折りは、受付での優良頒布のほか、電話及びFAXでも承っております。なお、当研究所創立以来の出版物を一覧にした 「機械工業経済研究報告書目録集」 が今秋に発行されます。