Ⅲ 概要
これまでの「生活者視点によるモノづくり・モノの流れ」に関する調査研究の一環として、また生活密着型機器の調査研究における最終的な段階として、モノの販売後あるいは購入後のそのモノに対する供給側(生産業者・流通業者)の行動(=「アフターセールス」)について検討したものである。供給側の一方的にモノを供給しつづける姿から、「人・モノ・環境」を考慮するそれぞれに優しい供給体制へと変化しているのではないかという前提のもと、「アフターセールス」段階における各分野ごとの現況や課題を探りながら、生活者および企業にとっての望ましいモノづくり体制とはどのような姿なのかという提案を、生活密着型機器や「優しさ」の再定義を含めて、行っている。
第1章では、当調査研究の問題意識や概要を考察している。次に第2章では、「優しさ」という概念を再検討するため、まず「人」に対する「優しさ」、それから今回の調査研究で考察する必要のでてきた「環境」への優しさのそれぞれの定義づけと相互の関連性を述べている。そして、「アフターセールス」を(1)修理・修繕のアフターサービス分野、(2)苦情処理・相談への対応のアフターケア分野、(3)廃棄や資源回収などのリサイクル分野に分類したうえで、第3章ではアフターケア(苦情処理・相談)分野について、日米の企業における取り組みの比較も行いながらわが国における現況とそのフィードバック状況について、第4章ではリサイクル分野について、生活者の意識変革を踏まえながら北九州エコタウンにおける事例も掲げた詳細な考察、第5章ではアフターサービス(修理・修繕)分野についての検討として、アフターサービスという概念や分類の明確化を行うとともに企業における実情や方向性をあげている。最後に第6章では、これまでの調査研究の概要や結果報告を行いながら、「人に優しいモノづくり」を再度検討することで、あらためて「生活密着型機器」の提案とモノづくりの変化についてまとめている。 |